2020 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント蛋白に着目した腎移植における新規免疫抑制療法の提案
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20K17564
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
富田 祐介 東海大学, 医学部, 講師 (50622263)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎移植 / 制御性T細胞 / 免疫チェックポイント蛋白 / PD1 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトにおける制御性T細胞(Treg cells)や免疫チェックポイント蛋白(PD1)の特性について検討した。ヒトの全血を採取し、末梢血単核球中を抽出した後に、Treg cellsやPD1の発現頻度をフローサイトメトリーで解析した。腎移植後のレシピエント、慢性腎臓病の症例、健常人の比較検討を行った。 1. 腎移植後のレシピエントは、CD25+CD127-CD4+ Treg cellsの発現が低下していた(P < .001)。また、腎移植後の長期生着に関わると考えられている抗ドナー特異的抗体の新規形成(dnDSA形成)に関わる因子についても検討した。dnDSA群でCD25+CD127-CD4+ Treg cellsの発現は低値であり(P = 0.040)、その中でも特にCD45RA-CD25+CD127-CD4+ activated Treg cellsの発現頻度が有意に低かった(P = .038)。一方で、抗ドナー非特異的抗体の形成とTreg cellsの発現との間には相関が認められなかった(P = .772)。これらの結果より、CD45RA-CD25+CD127-CD4+ activated Treg cellsは腎移植後のdnDSAの形成に強く関連していることが示唆された。 2. マウスの予備実験でPD1の発現はCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、B細胞に認められたが、ヒトにおいてPD1の発現が異なるのかについて検討した。PD1陽性細胞はCD4陽性T細胞、 CD8陽性T細胞、B細胞の全てに認めたが、B細胞中のPD1の発現はT細胞と比較し、低値であった。また、腎移植後のレシピエント、慢性腎臓病の症例、健常人の3群間で発現に有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析総数が当初の目標に達していないため。また、これまで使用していたIL35抗体(Biotin Conjugate Monoclonal Antibody Clone, V1.4H6.29, Humanとreactivityあり, SHENANDOAH社製)が販売中止となり入手不可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
全血採血のサンプル数を増やす。 ヒトサンプルで機能する新たなIL35抗体を選別、同定し、研究を進める。
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Causes of Carryover |
全て物品費として使用し、計画通りに進んだ。 次年度は大部分の7.5割を物品費(試薬や抗体、リンパ球の採血管、ピペットなどの消耗性実験器具)、2割をその他の施設利用費(フローサイトメトリーの解析利用費など)、0.5割を旅費として使用する予定である。
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