2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント蛋白に着目した腎移植における新規免疫抑制療法の提案
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20K17564
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
富田 祐介 東海大学, 医学部, 講師 (50622263)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎移植 / 制御性T細胞 / 免疫チェックポイント蛋白 / PD1 / COVID19 / 抗ドナー特異的抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 腎移植レシピエントにおける制御性T細胞(Treg cells)や免疫チェックポイント蛋白(PD1)の特性について経時的に検討を行った。ヒトの全血を採取し、末梢血単核球中を分離した後に、 Treg cellsやPD1の発現頻度をフローサイトメトリーで解析した。術前、術7日、術1ヶ月、術3ヶ月、術1年と縦断的に検討を行った。術直後はTreg cellsの発現が低下していた(P < .001)。しかし、CD45RA- activated Treg (aTreg) cells の発現頻度が高い傾向にあった。また、維持免疫抑制剤としてエベロリムスを用いている群でaTreg cellsの発現が有意に高いことが示された(P = .02)。 2.移植患者は終生にわたる免疫抑制剤の内服が必須であり、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症のハイリスク群に属する。実際に、コロナ禍で新規の腎移植を中止せざるをえない状況となり、移植を待機している患者にとっては不安と負担が多い現状である。そこで、SARS-CoV-2感染症の予防ワクチンを接種した後の生体内での免疫反応の変化について検討した。腎移植レシピエントと健常者の末梢血単核球を分離し、接種前と接種後で活性化細胞やTreg cells, PD1陽性細胞の発現を比較した。健常者で活性化T細胞が増加傾向を示し 、特にPD1+CD8+ T cells の増加が顕著であった (P=.027)。一方で、腎移植レシピエントではワクチンの接種による末梢血単核球への影響は少なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19感染症の拡大に伴い、新規の生体腎移植を中断せざるをえない状態が続き、解析総数が当初の目標に達していないため。サンプル数はまだ足りていないが、全体的な研究の進行は概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度より新規の生体腎移植が再開されておりサンプル数を増やす。今年は最終年度を迎えるため、Treg cellsやPD1の発現が移植腎保護との間にどのような関わりがあるのかについて検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
大部分を物品費として使用し、概ね計画通りに進んだ。サンプル数が伸び悩んだ分、繰越金が生じたと考える。本年度は7割を物品費(試薬や抗体、リンパ球の採血管、ピペットなどの消耗性実験器具)、2割を施設利用費(フローサイトメトリーの解析 利用費など)、1割をその他の旅費や論文投稿費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)