2020 Fiscal Year Research-status Report
PDIA3が甲状腺未分化癌の腫瘍免疫に及ぼす影響の検証と分子病態の解明
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20K17567
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
呉 壮香 日本医科大学, 医学部, 助教 (40617792)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / PDIA3 / 予後 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺癌未分化癌は1年生存率16%と予後不良な疾患である。甲状腺未分化癌は、診断時に約70%に原発巣が隣接臓器に浸潤していることや、約半数に遠隔転移していることがあり、根治的治療が不可能な例も多い。未分化癌の早期発見、治療に応用できる可能性のある分子の創出のために、未分化癌の分子レベルでの病態の解明が必要である。本研究では、甲状腺未分化癌におけるprotein disulfide isomerase A3 (PDIA3)の発現が腫瘍免疫に影響し、未分化癌の悪性度に関わることを実証することを目標とする。本研究の結果から未分化癌の分子病態を明らかにし、将来的には早期発見や治療への応用が期待される。 まず、蓄積された甲状腺未分化癌、コントロールとして甲状腺分化癌と正常甲状腺の病理組織標本を用いて免疫染色を施行し、染色性を確認した。甲状腺乳頭癌、正常甲状腺に比し、未分化癌では発現が変化していた。臨床データを併せた解析では、PDIA3が甲状腺未分化癌の臨床病理学的特徴に影響する可能性が示された。また、コントロールとして用いた甲状腺分化癌についても解析したところ、分化癌でもPDIA3の発現が変化していた。臨床データでは、いくつかの因子と関連するとの結果も得られた。甲状腺癌においてPDIA3は腫瘍免疫のみならず、その他の機能も有する可能性が示唆された。これらの機能を実証するために、甲状腺未分化癌培養細胞においてもPDIA3の発現を測定し、機能解析実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病理組織標本を用いた検討、臨床病理学的データを用いた検討まで進んでいる。また、今後細胞実験を行う準備も行っている。おおむね計画通りに、研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果からは、甲状腺癌においてPDIA3は腫瘍免疫のみならず他の機能の影響も大きい可能性が示唆されている。今後は、細胞実験や統計処理を工夫して方向性を整理しながら進めていく。
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Causes of Carryover |
[次年度使用額が生じた理由]参加予定であった学会が中止やオンライン開催となり、実際にかかった旅費が予定より少なかった。緊急事態宣言に伴い物品、試料の納入がやや遅れていた。 [使用計画]次年度は、予定通り細胞実験に必要な試薬や、DNAマイクロアレイ法を行う予定である。
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