2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K17576
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
文田 貴志 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (60866995)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Hirschsprung病類縁疾患 / 腸管神経 / 腸管免疫 / 好酸球 / neuromedin U |
Outline of Annual Research Achievements |
小児外科領域で扱うHirschsprung病やHirschsprung病類縁疾患は、便秘や腸管拡張を呈する腸管神経異常疾患で、腸炎が重症化することが知られている。神経異常腸管の切除術が治療であるが、術後腸炎の重症化が報告されておりその原因は不明であり腸管神経と腸管免疫の関連も示唆される。 研究代表者は腸管神経系と腸管免疫の相互作用について腸管神経増多を認めるNcx KOマウスを用いて研究を行った。Ncx KOマウスは神経細胞死の障害により腸管神経細胞の増多を認め、Hirschsprung病類縁疾患の一型である腸管神経形成異常症モデルマウスと位置付けられている。Ncx KOマウスでは腸炎の重症化を認めるものの、自然経過で腸炎を発症しないことから、何らかの免疫学的な代償機構が働いていると仮説を立て解析を行い、研究代表者はこれまでに以下の3点を明らかにした(2021年12月、第50回日本免疫学会workshop口演) ①回腸粘膜固有層での好酸球割合の有意な増加、②回腸組織におけるIL5およびIL25遺伝子発現の増加、③回腸組織における神経ペプチドNeuromedinU(NMU) 発現の有意な上昇及び筋層間神経叢・粘膜内神経近傍におけるNMU蛋白の高発現。 さらに粘膜固有層における好酸球増加の生理的意義を明らかにするために、好酸球の欠損したNcx KOマウス(Ncx KO/ΔdblGATAマウス)を作製しDSS腸炎を誘導したところ、Ncx KOマウスと比較して死亡率が有意に増加した。このことよりNcx KOマウスにおいて好酸球は炎症に対し保護的な機能を有していると考えられた。
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