2021 Fiscal Year Research-status Report
Clinical significance of glycosylceramide in the immune microenvironment of breast cancer
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20K17578
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
諸 和樹 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (10745566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / グルコシルセラミド / RNAシークエンス / リピドミクス解析 / マクロファージ / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
グルコシルセラミドは細胞内に存在するが、細胞損傷を受けると細胞外へ放出され、マクロファージや樹状細胞に発現しているMincle(Macrophage-inducible C-type lectin)と呼ばれる活性受容体に結合して獲得免疫応答を活性化させる。グルコシルセラミド経口投与は脾臓でのNK細胞の活性化を引き起こし、頭頸部腫瘍モデルマウスにおいて腫瘍血管新生を抑制することが報告されている。グルコシルセラミド経口投与と乳癌増殖進展との関連、免疫微小環境との関連については明らかになっていない。グルコシルセラミド経口投与が乳癌増殖進展の抑制に関連していると仮説を立て、動物実験を行い、RNA解析とリピドミクス解析を施行した。 トリプルネガティブ乳癌細胞株(E0771細胞株)をC57BL/6マウスに移植し、グルコシルセラミド経口投与群と非投与群に分け、腫瘍量を比較した。グルコシルセラミド経口投与群では非投与群よりも有意に腫瘍増殖が抑制された。RNAシークエンスを用い、腫瘍におけるRNA発現を比較した。マクロファージM1誘引に関与するFabp4はグルコシルセラミド経口投与群において非投与群よりも有意に高かった。Mincleの発現に関与するClec3bはグルコシルセラミド経口投与群において非投与群よりも高い傾向を認めた。リピドミクス解析において、腫瘍中のセラミド濃度はグルコシルセラミド経口投与群が非投与群よりも高い傾向を認めた。 グルコシルセラミド経口投与群において腫瘍増殖が抑制された背景には、マクロファージM1の誘引と、セラミドによるアポトーシス効果が関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題A「乳癌細胞移植マウスモデルを用いたセラミドによる腫瘍免疫微小環境の制御機構の解明について、予定通り研究を遂行した。 課題B「乳癌患者におけるセラミドと腫瘍免疫微小環境との関連性とその臨床的意義」については乳癌患者の血清検体に対するリピドミクス解析の結果を臨床データと照らし合わせ、乳癌化学療法における血清グルコシルセラミド濃度測定の臨床学的意義を明らかにし、日本乳癌学会で発表した。 課題C「バイオインフォマティクスによるセラミドと腫瘍免疫微小環境との関連性の検証」については課題Aで得られた試料をRNAシークエンス解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題A「乳癌細胞移植マウスモデルを用いたセラミドによる腫瘍免疫微小環境の制御機構の解明」について、研究は完遂したため、今年度は予定していない。 課題B「乳癌患者におけるセラミドと腫瘍免疫微小環境との関連性とその臨床的意義」についても、乳癌患者検体のリピドミクス解析は既に終了しているため、今年度は予定していない。 課題C「バイオインフォマティクスによるセラミドと腫瘍免疫微小環境との関連性の検証」については、課題Aで得られた試料をリピドミクス解析中である。解析結果を統合し、論文化を予定している。
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Causes of Carryover |
2022年11月に米国へリピドミクス解析を依頼し、試料を搬送した。COVID-19のため、解析を行う施設が約1か月閉鎖したため、検体の解析が遅れた。3月に解析結果が届いたが、決済が2022年4月に行われたため、次年度使用額が生じる結果となった。
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