2020 Fiscal Year Research-status Report
Impact of everolimus on liver regeneration after partial liver transplantation
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20K17581
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
園田 真理 京都大学, 医学研究科, 医員 (40534235)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エベロリムス / 部分肝移植 / 肝再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制剤であるエベロリムスを部分肝移植直後から使用可能かどうかを検証するにあたり、まずは部分肝移植で重要となる移植後の肝再生に関してLEWISラット70%肝切除モデル(右葉と尾状葉を残肝とする)を用いて検証した。エベロリムスの投与量として、実臨床で用いられているトラフ3-8ng/mlをターゲットとする投与量(EVR1)と増量群としてトラフ10-15ng/mlをターゲットとする投与量(EVR2)の二群にコントロール群として蒸留水を用いる群(Ctrl)を加えた三群で施行した。肝再生の評価は、肝重量による肝再生率(%)とKi-67 index(%)を用いた。肝再生率の結果として、Ctrl群は術後7日で肝再生がプラトーに達するのに対し、EVR1、EVR2群は、術後14日でコントロール群と同等まで戻りプラトーに達した。EVR1群は術後3、7日目で有意に肝再生率が低かった(それぞれp=0.0035/0.0232)。EVR1群とEVR2群に差を認めなかった。術後1日のEVR1、EVR2群のKi-67 index(%)はCtrl群より有意に低値(p=0.0189)であったが術後3日では差を認めなかった。以上より、エベロリムスには肝再生抑制作用があるがその作用は永続しないことが判明した。エベロリムスが阻害するmTOR経路以外の肝再生に関わるpathwayが代償するためと考えられた。実臨床で、肝移植直後からエベロリムスを使用することを考慮するにあたりこの肝再生遅延作用が移植後の生存や肝機能に影響するかを多角的に検証する必要がある。そこで、よりclinicalに近い状況であるラット30%部分肝移植モデルを用いて検証を行い、実臨床に還元したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットにおける肝切除や肝移植の手術手技の獲得や、薬物投与の手技獲得に数ヶ月要したが、その後は安定した成績を得られるようになっている。引き続き肝移植モデルでの検証を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット肝移植モデルの手技獲得に成功したため、pre-clinicalな実験として肝移植モデルでの検証を行っていく。 同時に、肝切除モデルで得られた検体を用いて、エベロリムスの肝再生への影響をタンパクレベルで解明する。
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Causes of Carryover |
ラット肝切除モデルでの実験において、肝重量による肝再生率から得られた結果が有意であったため、検体の解析にかかる費用(血液検査、免疫染色)が少なく済んだ。翌年度以降は、肝移植モデルでの実験となるため、検体の解析に加え、実験器具、臓器保存液などの薬液の購入も必要になるため、合わせて使用する予定である。
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