2022 Fiscal Year Research-status Report
A new model for predicting the effect of neoadjuvant chemotherapy in breast cancer by dedicated breast Positron Emission Tomography based on tumor infiltrating lymphocytes
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20K17582
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 優里 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (50806130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳癌 / 腫瘍浸潤リンパ球 / TIL / CD8 / FOXP3 / PET / 乳房専用PET / US |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocytes: TILs)は乳癌の予後および薬物療法に対する治療感受性に関与することが報告されている。早期乳癌において腫瘍縮小による乳房温存率の向上、薬物反応性の可視化、化学療法の治療効果を元に追加の薬物療法を検討するresponse-guided therapyにつなげるという目的から、術前化学療法は標準的に選択される治療戦略である。術前化学療法を施行する際にTILsを含む治療前所見を用いた治療効果予測が治療選択や予後評価に有用であると考える。申請者らの研究グループでは乳癌診療におけるFDG-PET/CTの意義について研究し、その過程でFDGPET/CTのSUV値の変化が乳癌薬物療法の治療効果を反映することを発見しており、FDGPET/CTを用いた治療効果予測の可能性を想起した。 TILsには制御性T細胞、細胞障害性リンパ球、PD-1などの免疫チェックポイントを発現する機能的TILsの他、機能を持たないbystanderリンパ球が存在している。申請者らは機能的TILsの発現は症例により大きく異なり、CD8陽性細胞と共に予後、治療効果に影響することを見出した。 本研究は、腫瘍微小環境、TILs分画を詳細に解析し、FDGPET/CT、乳房専用PETとの関連を評価し、上記治療前所見を用いた乳癌治療効果予測につなげ、新規乳癌治療戦略の開発を目的としている。治療前針生検検体腫瘍組織を用いて、FOXP3、CD8、CD4、機能的TILsの指標となるPD-1とそのリガンドであるPD-L1で免疫染色を行い、TILs分画を評価し、SUV値と患者因子、腫瘍因子、機能性TILsを因子の関連を解析し、治療効果予測への応用を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、早期TNBCにおいて、腫瘍免疫微小環境(TIME; tumor immune microenvironment)の詳細な分画を評価し、代謝パラメーターであるSUVmaxと関連する腫瘍微小環境因子を検討すること、また、術前化学療法の治療効果を示すpCRと関連する腫瘍微小環境因子を検討することを目的としている。本研究は術前化学療法前にPET/CTを施行した早期TNBC 54症例を対象とした。針生検標本において、CD8、FOXP3、PD-1、PD-L1の免疫組織化学染色を行い、それぞれの発現状態を評価した。TILsを含む腫瘍微小環境因子とSUVmaxおよびpCRとの関連を検討した。結果として、SUVmaxは、腫瘍径、Ki67値、CD8/FOXP3 ratioと有意に相関していた。多重回帰分析においてSUVmaxとの関連を検討したところ、腫瘍径、CD8/FOXP3 ratioが有意な因子となった。続いて術前化学療法の治療効果とTIMEの関係を検討したところ、TILs高発現、CD8/FOXP3 ratio高値、PD-1発現、PD-L1発現が有意にpCRと関連していた。多重回帰分析にてpCRとの関連を検討したところ、CD8/FOXP3 ratioが独立したpCR予測因子であった。 本研究の結論としてPET/CTにより得られるSUVmaxは、早期TNBCにおけるCD8/FOXP3 ratioを反映していた。また、CD8/FOXP3 ratioは独立したpCR予測因子であることが示された。PET/CTがTIMEにおける腫瘍免疫応答を反映している可能性が示唆された。 以上の結果を元に論文作成を行い、結果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果から、PET/CTだけでなく、乳房専用PETといったより高解像なmodarityと、サブタイプの応用につなげていく予定である。また、腫瘍微小環境・TILを治療前に評価することで、術前化学療法の治療効果を予測するこのと重要性も見出した。治療前の乳腺US、乳房造影USを用いて、TILを正確に予測することの可能性についても研究を応用してすすめている。現在、TILが豊富な乳癌における特徴的な所見を元にscoringを作成し、それを元にTILが豊富な乳癌を予測できるかを検証し、針生検と同等・またはそれ以上の精度で予測可能なことを明らかとした。また、実際の術前化学療法の効果予測への応用についても、治療前の針生検と同様に、高い精度でのpCR予測能を示し、こちらも論文作成・学会発表などを行っている。今後は、乳腺US以外のmodarityにも幅を広げて検証していくことに発展させている。現在は造影USを用いた画像所見の評価をscoringに加えることで、より高い精度でTILが豊富な乳癌を予測できないかを前向きに検証する研究も進めている。画像解析と病理診断の結果を合わせて、新たなアプローチで早期乳癌の治療戦略への応用を目指している。
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