2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel anti-Wnt5a antibody therapy by elucidating drug resistance mechanism of Wnt5a positive breast cancer
Project/Area Number |
20K17583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
網岡 愛 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 専門研究員 (90727207)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Wnt5a / breast cancer / cytochrome P450 / pathway analysis / drug sensitivity / ER-positive |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】我々は、Wnt5a陽性乳癌はエストロゲン受容体(ER)陽性乳癌に分類され、その予後は、Wnt5a陰性乳癌の予後より不良である。本研究は、 Wnt5a陽性乳癌患者の予後不良のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 【方法】2011年1月から2014年2月に手術を受けた151人のER陽性乳がん患者を対象とした。DNAマイクロアレイおよびパスウェイ解析には、Wnt5aを恒常的に発現するMCF-7細胞[MCF-7/Wnt5a(+)]を用いた。その結果に基づき、培養細胞および乳癌組織検体を用いて、薬剤感受性試験、および変異分析を実施した。また、ER陽性乳癌のホルモン療法抵抗性を惹起するとされるPI3K-AKT-mTOR経路の活性化と、Wnt5aとの関連も検索した。 【結果】 Wnt5a陽性乳癌患者の無再発生存率は、Wnt5a陰性よりも有意に低かった(P = 0.047)。DNAマイクロアレイ結果からは、シトクロムP450(CYP)経路のみがMCF-7/Wnt5a(+)細胞で有意に亢進していた(P = 0.0440)。さらに、MCF-7/Wnt5a(+)細胞では、CYPの代謝基質である、タモキシフェン(P <0.001)、パクリタキセル(P <0.001)、シクロホスファミド(P <0.001)に対する感受性が低下していた。一方、PI3K-AKT-mTOR経路はWnt5a発現とは相関していなかった。 【結論】 ER陽性乳癌において、Wnt5aはCYP経路を亢進させ、タモキシフェン 、パクリタキセル、シクロフォスファミドへの薬剤感受性を低下させることで、予後不良につながる可能性がある。それら3剤はCYPの代謝基質で、かつER陽性乳癌の標準治療薬でもある。また、Wnt5aは、PI3K-AKT-mTOR経路とは無関係に、ER陽性乳がんの予後不良に関与している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wnt5a陽性乳がんに関する薬剤感受性・予後について順調に検証出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
CYPのどの分子種が、薬剤感受性に影響を与えているかタンパク質発現で検証する。また、in vivoでの薬剤感受性試験を行い、今回のin vitroの結果と一致するか検証する。最後に、抗Wnt5a抗体を用いた場合の薬剤感受性に変化があるかについて検証する。
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Causes of Carryover |
長引くコロナ禍のため、国際学会や国内学会、講習会がWEB開催やe-learningへ変更になったため、会場への出張費などが不要になったことが理由である。翌年度は、実験試料や器具等に使用予定である。
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