2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K17586
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野口 浩司 九州大学, 大学病院, 助教 (70844364)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 移植免疫 / 腸管ディスバイオシス / 腸内細菌叢 / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人為的な歯周病菌誘導のマウス腸管ディスバイオシスモデル用い、腸管ディスバイオシスを惹起したマウスに皮膚移植を行い、腸管ディスバイオシス による移植免疫への影響を調べる研究である。 方法であるが、マウスをPg投与する群(Pg群)と投与しないコントロール群の2群に分けPg群は6週間のPg投与を行い、コントロール群は6週間PBSを投与し た。その後両群に同種異系皮膚移植を行った。Pg投与による腸内細菌叢の変化を評価するため、移植前の糞便中の腸内細菌叢解析と腸管代謝物である短鎖脂肪酸 の測定を行った。また、移植前の血中と脾臓の制御性T細胞(Tregs)/CD4陽性T細胞比をフローサイトメトリーで測定した。さらにPgまたはPBSを6週間投与後に皮 膚移植を行い、皮膚移植のグラフト生着日数を両群間で比較した。 結果は移植前の腸内細菌叢解析では、属レベルでPg群においてコントロール群と比較し4つの菌が有意に増加し、2つの菌が有意に減少していた。またPg群で 増加した4つの菌のうち、3つが短鎖脂肪酸産生菌であった。短鎖脂肪酸産生菌の増加と一致し、Pg群において糞便中の短鎖脂肪酸の1つである酢酸およびプ ロピオン酸の濃度が有意に上昇していた (p = .040、 p = .005)。またフローサイトメトリーでは、Pg群において移植前の血中・脾臓のTregs/CD4陽性T細 胞比の有意な上昇を認めた (p = .002、p < .001)。さらにPgまたはPBSを6週間投与後に同種異系皮膚移植を行ったところ、Pg群において移植した皮膚グ ラフトの生着日数の有意な延長を認めた ( p < .001)。歯周病菌投与による腸管ディスバイオシスは、腸管代謝物である短鎖脂肪酸の濃度上昇とTregs /CD4陽性 T細胞比の上昇を介して、移植免疫に影響を及ぼす可能性があることが示された。
|