2021 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における腫瘍免疫が全身性炎症に及ぼすメカニズムの解明
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20K17587
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大徳 暢哉 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (60867191)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 腫瘍浸潤リンパ球(TIL) / sarcopenia / 骨格筋指数(SMI) / MSI status |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋減少を特徴とするサルコペニアは大腸癌患者の予後不良と関連しているが、その発症および進展には全身性炎症が関与している。今回、大腸癌患者の術前骨格筋量と、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、予後との関連を評価した。対象は2008年から2014年に当院で手術を施行した大腸癌256例。サルコペニアは、術前CTの断層撮影画像で第3腰椎の骨格筋量を使用して評価された骨格筋指数(SMI)によって評価し、臨床病理学的因子および予後との関連を評価した。さらに、TIL(CD3+、CD8+、CD4+、Foxp3+陽性細胞)を免疫組織化学によって評価し、TILとSMI、予後との関連を評価した。SMIが低い患者は、SMIが高い患者と比較し、無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)が有意に短かった(5年RFS; 低骨格筋群 vs 高骨格筋群 = 41.1% vs 75.3%、p<0.001、5年OS; 低骨格筋群 vs 高骨格筋群 = 47.1% vs 81.8%、p<0.001)。 TILの低発現は、有意に短い無再発生存率と関連していた(CD3; p=0.005、CD8; p<0.001、Foxp3; p=0.028)。SMIは、ロジスティック回帰分析でCD3+およびCD8+細胞の数と有意に相関していた(CD3; p=0.024、CD8; p=0.046)。また、術前骨格筋量が低く、CD3+またはCD8+陽性細胞が少ない患者は、術前骨格筋量が高く、CD3+またはCD8+陽性細胞が多い患者と比較し、予後不良であった(CD3、CD8ともにp<0.001)。本研究において、大腸癌患者の骨格筋量と腫瘍局所免疫との有意な関連を示した。宿主の全身性炎症が腫瘍局所の免疫動態に影響し、予後と関連していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)