2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒルシュスプルング病有神経節腸管における神経及び免疫細胞の相互発生制御機構の検証
Project/Area Number |
20K17593
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
武田 昌寛 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (50806164)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒルシュスプルング病 / 腸管神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発生過程における神経系と免疫系の相互ワイヤリングに着目し、ヒルシュスプルング病(以下H病)における難治性腸炎(以下H病腸炎)の病態解明を目的 としている。特に①H病の腸間膜、腸管組織透明化による三次元イメージング法の構築、②H病におけるM細胞の形態学的観察、③腸管神経末端における解剖学的検証に焦点をあて検証を行った。 腸管組織透明化による三次元イメージング法の構築を目的とし、SeeDB法を用いて、胎生期の増生神経分布を透明化組織イメージングにより視覚化に成功した。その後、PSA-NCAM陽性の微細な神経線維の観察に成功した。しかしパイエル板内におけるTuj1陽性の神経線維の観察が困難であったこと、またH病マウスにおけるパイエル板は胎生期から出生7日までの期間いずれも極めて発達が未熟であり、再現性のある神経線維の観察は困難であった。以上よりパイエル板における神経線維と免疫細胞の発生過程における相互関係を形態学的に観察することは困難であると結論付けた。またH病マウスにおける神経発生異常とM細胞との関連を透明化ホールマウント標本による三次元イメージング解析で検討を行った。M細胞マーカーとしてGP2抗体及びSPIB抗体を用い検証を行ったが、本解析方法においてはいずれもコントロールマウスとの有意な差は観察されなかった。腸管神経系の解剖学的検証においては、ヒト検体を用い肛門部における腸管神経末端の評価を行った。その結果、anorectal lineが腸管神経末端の基準となる既報の報告と矛盾がない結果であった。これらの結果をもとに、anorectal lineを使用した新たな直腸粘膜生検法を提案し、報告するに至った。本方法は腸管神経系の解剖学的視点に裏付けられた、新たな検査手技であり、H病の診断率の向上に寄与するものである。
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