2020 Fiscal Year Research-status Report
胆嚢癌におけるPD-L1発現抑制を目標とした新規癌免疫療法の追求
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20K17603
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 豊 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90867285)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胆嚢癌 / PD-L1発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆嚢癌は未だ予後不良な疾患であり、外科的切除を含む集学的治療の確立が急務である。近年の腫瘍免疫学の進歩により、「がん免疫逃避機構」を標的とする新しい癌治療開発が各癌腫で盛んに進んでいるが、胆嚢癌における報告は乏しい。そこで、まず、進行胆嚢癌におけるProgrammed cell death ligand 1(PD-L1)発現が根治切除後の有用なバイオマーカーとなり得るかを検討した。 2003年から2016年に当科で手術を施行したT2以深の胆嚢癌94例を対象に、腫瘍細胞におけるPD-L1発現を免疫組織化学染色にて評価した。腫瘍細胞におけるPD-L1発現の陽性率は38.3%(36例)であった。PD-L1陽性例では陰性例に比べ有意にリンパ管・静脈浸潤、リンパ節転移、肝転移が多く、術前の胆管ドレナージ不全と有意に相関した。また、腫瘍先進部におけるCD8陽性T細胞高浸潤群のサブグループでは低浸潤群に比べ有意に全生存期間の延長を認めたが、同サブグループにおける多変量解析にてPD-L1発現は独立した予後不良因子であった。さらに、腫瘍細胞におけるリン酸化NF-κB-p65の核内発現とPD-L1発現に正の相関を認めた。 以上より、進行胆嚢癌におけるPD-L1発現と臨床病理学的因子、予後との関連が解明され、PD-L1発現が胆嚢癌根治切除後の有用なバイオマーカーとなり得ることが示唆された。特に、CD8陽性T細胞の高浸潤症例において、抗PD-1/PD-L1抗体治療を中心とした免疫チェックポイント阻害剤がよい適応となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体において、進行胆嚢癌におけるPD-L1発現と臨床病理学的因子、予後との関連が解明され、PD-L1発現が胆嚢癌根治切除後の有用なバイオマーカーとなり得ることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
NF-κBやSTAT3などの炎症性転写因子の活性亢進がPD-L1発現を誘導する可能性が他癌種で示唆されており、胆管炎や閉塞性黄疸といった特有の術前慢性炎症下にある進行胆嚢癌においても同様のPD-L1調節機構が存在する可能性が考えられる。炎症性転写因子の活性抑制を介してPD-L1発現が制御されうるかを胆嚢癌細胞株を用いた実験系で検証し、胆嚢癌におけるPD-L1発現を調節する因子を同定することで、PD-L1発現抑制を介した胆嚢癌に対する新規のがん免疫療法の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況により、端数として当該の次年度使用助成金が生じた。翌年度分の請求助成金と合わせ、主に細胞実験を中心に研究を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)