2020 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌におけるPROK2の新規治療標的因子やバイオマーカーとしての臨床応用の検討
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20K17608
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
呉林 秀崇 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (10794589)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PROK2 / 抗腫瘍効果 / 抗体 / リキッドバイオプシー / 大腸癌 / 予後予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.抗体の臨床応用に向けた研究の結果 現在Prokineticin2(以下、PROK2)抗体を作成しているが、モノクローナル抗体の作成に難渋しており、市販されている抗体を用いた検討を施行中である。また我々はこれまでにPROK2の受容体である「PROK受容体2」の大腸癌における発現の有無が大腸癌の予後に関わることを見出しており、報告を行なっている。今回、抗PROK受容体2抗体を用いて、抗PROK2抗体の実験と並行して、マウスにおけるヒト大腸癌細胞株に対する抗腫瘍増生抑制効果を検討し、その効果を認めている。今後の検討にて、抗PROK2抗体が腫瘍抑制効果を見出す可能性は高いと考えており、抗体作成および検討を続けていく。 2.リキッドバイオプシーを用いたProkineticin2の役割の検討 現在ヒト大腸癌患者131例において、血中PROK2濃度を測定し、臨床組織学的因子との関連について検討を行なっている。PROK2の陽性率は14.5%であった。同時にVEGF濃度を測定し、VEGF陽性症例およびStageIV(他の因子が予後に関わっている可能性が高いと判断)を除外した85例で検討を行うと、有意に無再発生存期間および全生存期間がPROK2陽性例で予後が不良であることを見出しており、多変量解析においてもPROK2が独立再発予測因子となることが確認されている。今後さらなる症例の蓄積を行い、詳細な検討を行なっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
評価点:1.腫瘍抑制効果の一部は評価できていること→研究実績に記載した通り、腫瘍の抑制効果については一定の結果が見出してきており、今後の検討の蓄積が必要になると考える。2.リキッドバイオプシーとしてのPROK2の可能性が示唆できていること→血清PROK2が再発予測因子になりうる可能性が示唆されている。現状としてはVEGF陰性やStageI-IIIと条件付きになっているために、今後さらなる症例の蓄積により、サブクラスの評価や他因子との関連など検討を行なっていく必要があると考える。 課題:1.モノクローナル抗体作成課題→現在、抗PROK2モノクローナル抗体の作成には難渋しており、ハイブリドーマ作成まではできているものの、抗体産生が十分に得られていない。作成についての検討は続けていく必要があるが、今後の実験の継続について、市販の抗体薬(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体を含めて検討)を用いるべきかの検討は必要と考えている。2.肝転移抑制→現在、肝転移モデルマウスの作成をしている途中であり、マウスの実験には一定の期間を要することから、未施行の検討項目が複数存在している。今後、計画書に提出した実験について、肝転移抑制効果を含めて、検討してく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.抗体作成について →作成の継続を行うこと。市販抗体薬の導入について検討すること。市販薬で、導入実験をいくつか行い、効果が確認されるかの目処を立てる必要がある。 2.高PROK2発現細胞株を用いた抗腫瘍効果の確認 →腫瘍抑制について、現在市販のヒト大腸癌細胞株における一定の抑制効果を認めているが、PROK2遺伝子を導入した高PROK2発現大腸癌細胞株を作成し、実験を遂行する予定である。現在PROK2を導入したベクターは作成し、導入後、遺伝子発現があることを確認できている。 計画書における未施行の研究として、PROK2遺伝子を導入した高PROK2発現大腸癌細胞株を用いたinvasion assayを施行予定であり、またArrayにより、遺伝子発現の変化についても検討予定である。
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