2020 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患における自然リンパ球を介した自己免疫寛容とその破綻機構の解明
Project/Area Number |
20K17615
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻野 崇之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50597458)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自然リンパ球 / 炎症性腸疾患 / 免疫寛容 / 腸管粘膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(IBD)患者は本邦および世界的にも増加傾向にあるが、その病因については未だに不明であり根本治療も確立していない。腸管における免疫寛容機構の破綻が疾患発症の原因と考えられており、免疫寛容を制御する細胞分画を同定することで新規治療の創出につながる可能性がある。しかし、ヒト腸管における免疫細胞および免疫寛容制御システムについての解析は発展途上である。本研究では、自然リンパ球に着目し、IBDの病因および病態に関与する免疫寛容の破綻機構を明らかにすることを目的とした。 まず正常大腸粘膜にどのようなILCが存在するのか解析した。表面抗原を用いてflow cytometryで解析した結果、正常大腸には、ILC1とILC3が存在していた。CD45陽性CD127陽性CD117陽性集団がILC3だが、ILC3はさらにNKp44-とNKp44+ ILC3の2分画の集団が存在していた。ILC2は、CRTH2陽性であり皮膚や肺には多いと報告されているが、正常大腸にはほとんど存在していなかった。ILC1はT-betおよびT-betをコードするTBX21を高発現し、ILC3はRORγtをコードするRORCという遺伝子を高発現していた。それぞれILC1、ILC3を定義する転写因子であり、正常大腸にILC1.ILC3の2集団が存在することが検証された。ギムザ染色より、いずれの分画も形態的にリンパ球の形態であることを確認した。分画間に形態的な差はなかった。大腸ILCの分画割合を評価したところ、NKp44+ILC3が正常で最も多く存在するILC分画であった。 今後、RNA-Seq及びRT-PCRで 遺伝子発現、ELISAで蛋白発現を比較する。蛍光免疫染色で局在を確認する。 ILC3とT細胞の共培養を行い、免疫寛容能を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常大腸粘膜にどのようなILCが存在するのか解析した。表面抗原を用いてflow cytometryで解析した結果、正常大腸には、ILC1とILC3が存在していた。CD45陽性CD127陽性CD117陽性集団がILC3だが、ILC3はさらにNKp44-とNKp44+ ILC3の2分画の集団が存在していた。ILC2は、CRTH2陽性であり皮膚や肺には多いと報告されているが、正常大腸にはほとんど存在していなかった。ILC1はT-betおよびT-betをコードするTBX21を高発現し、ILC3はRORγtをコードするRORCという遺伝子を高発現していた。それぞれILC1、ILC3を定義する転写因子であり、正常大腸にILC1.ILC3の2集団が存在することが検証された。ギムザ染色より、いずれの分画も形態的にリンパ球の形態であることを確認した。分画間に形態的な差はなかった。大腸ILCの分画割合を評価したところ、NKp44+ILC3が正常で最も多く存在するILC分画であった。
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Strategy for Future Research Activity |
IBD患者、非IBD患者のILC3のsortingを行い、RNA-Seq及びRT-PCRで 遺伝子発現、ELISAで蛋白発現を比較する。凍結切片を用いて蛍光免疫染色を行い ILC3の局在を確認する。 IBD患者、非IBD患者の腸管ILC3のsortingを行い、PHA、IL-2、IL-7、ヒトAB型血 清存在下で5日間単培養を行う。次に各種経路を介する刺激の存在下で正常腸管の ILC3と正常腸管のT細胞の共培養を行う。5日後に上清を回収し、ELISAにより産生 サイトカイン(GM-CSF, TGF-β, IL-10, IL-12p40, IL-17, IL-22)を検討する。またT細胞を回収後、RT-PCRによりT細胞関連サイトカインの発現を解析し、各種ヘルパーT細胞(Th1, Th2, Th17, Treg)に対する活性制御能を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる緊急事態宣言の発令により、研究活動が停止となったため 研究計画に遅れが生じたため
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Human NKp44+ Group 3 Innate Lymphoid Cells Associate with Tumor-Associated Tertiary Lymphoid Structures in Colorectal Cancer.2020
Author(s)
Ikeda A, Ogino T, Kayama H, Okuzaki D, Nishimura J, Fujino S, Miyoshi N, Takahashi H, Uemura M, Matsuda C, Yamamoto H, Takeda K, Mizushima T, Mori M, Doki Y.
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Journal Title
Cancer Immunology Research
Volume: 8
Pages: 724-731
Peer Reviewed