2021 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患における自然リンパ球を介した自己免疫寛容とその破綻機構の解明
Project/Area Number |
20K17615
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻野 崇之 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (50597458)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 自然リンパ球 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自然リンパ球に着目し、疾患に関与する免疫寛容の破綻機構を明らかにすることを目的とした。 まず正常大腸粘膜にどのようなILCが存在するのか解析した。表面抗原を用いてflow cytometryで解析した結果、正常大腸には、ILC1とILC3が存在していた。 CD45陽性CD127陽性CD117陽性集団がILC3だが、ILC3はさらにNKp44-とNKp44+ ILC3の2分画の集団が存在していた。ILC2は、CRTH2陽性であり皮膚や肺には多いと 報告されているが、正常大腸にはほとんど存在していなかった。ILC1はT-betおよびT-betをコードするTBX21を高発現し、ILC3はRORγtをコードするRORCという 遺伝子を高発現していた。それぞれILC1、ILC3を定義する転写因子であり、正常大腸にILC1.ILC3の2集団が存在することが検証された。ギムザ染色より、いずれ の分画も形態的にリンパ球の形態であることを確認した。分画間に形態的な差はなかった。大腸ILCの分画割合を評価したところ、NKp44+ILC3が正常で最も多く 存在するILC分画であった。 UC非炎症部と正常大腸では、ILC分画の分布に差はなかったが、UC炎症部では、ILC1 (37.8%) が増加し、NKp44+ ILC3 (11.1%) が減少していた。またILC2は、UC大腸においても非常に少ない分画であった。また、大腸癌より細胞を採取してILC分画を解析した結果、癌部にも正常粘膜と同様の3分画(ILC1、NKp44-とNKp44+ ILC3)が存在していた。これらの分画の分布は、腫瘍深達度の進行に伴い変化し、NKp44+ ILC3はT1/T2腫瘍においては豊富に存在するが、T3/T4腫瘍では減少していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UC非炎症部と正常大腸では、ILC分画の分布に差はなかったが、UC炎症部では、ILC1 (37.8%) が増加し、NKp44+ ILC3 (11.1%) が減少していた。またILC2は、UC大腸においても非常に少ない分画であった。また、大腸癌より細胞を採取してILC分画を解析した結果、癌部にも正常粘膜と同様の3分画(ILC1、NKp44-とNKp44+ ILC3)が存在していた。これらの分画の分布は、腫瘍深達度の進行に伴い変化し、NKp44+ ILC3はT1/T2腫瘍においては豊富に存在するが、T3/T4腫瘍では減少していることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
IBD患者、大腸癌患者のILC3のsortingを行い、RNA-Seq及びRT-PCRで遺伝子発現、ELISAで蛋白発現を比較する。凍結切片を用いて蛍光免疫染色を行い ILC3の局在を確認する。IBD患者、非IBD患者の腸管ILC3のsortingを行い、PHA、IL-2、IL-7、ヒトAB型血清存在下で5日間単培養を行う。次に各種経路を介する刺激の 存在下で正常腸管のILC3と正常腸管のT細胞の共培養を行う。5日後に上清を回収し、ELISAにより産生サイトカイン(GM-CSF, TGF-β, IL-10, IL-12p40, IL- 17, IL-22)を検討する。またT細胞を回収後、RT-PCRによりT細胞関連サイトカインの発現を解析し、各種ヘルパーT細胞(Th1, Th2, Th17, Treg)に対する活性制 御能を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続く状況で、研究・実験の進捗が遅れているため
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Research Products
(1 results)