2021 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍選択的融解アデノウイルスのエクソソームを介した直接的なアブスコパル効果の検討
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20K17617
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
垣内 慶彦 岡山大学, 大学病院, 医員 (70868356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / ウイルス療法 / アブスコパル効果 / アデノウイルス / ドラッグデリバリーシステム / がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
当教室で開発され、臨床応用を目指して開発が進む腫瘍融解アデノウイルス「OBP-301」は、アポトーシスなどの直接的な抗腫瘍効果のみならず、抗腫瘍免疫増強による間接的な抗腫瘍効果も認められている。OBP-301はヒトの体内にアデノウイルス中和抗体が存在するため腫瘍内への局所投与のみに限局されるが、マウスモデルにおいてOBP-301の局所投与にて転移巣で原発巣と同程度かそれ以上の腫瘍縮小効果を認めることがあった。これはアブスコパル効果と言われる局所治療後に認める腫瘍免疫の活性化によって引き起こされていると考えられていた一方で、免疫欠失マウスでも同様の現象を認めたことで抗腫瘍免疫の増強以外のなんらかの効果がOBP-301によって引き起こされていると考えられた。 エクソソームはすべての組織・臓器から分泌される約30-150nm程度の小胞体で、分泌細胞由来のmRNA、miRNA、DNA、タンパク質などが含まれている。また、細胞間伝達において大きな役割を担っているとされ、さらに特筆すべき特徴として腫瘍指向性を持つと言われている。 本研究では腫瘍細胞をOBP-301で治療した後に分泌されるエクソソームにOBP-301が搭載されており、それが遠隔部位で効果を引き起こすことを証明した。まず、Cell lineをOBP-301で治療した後にエクソソームを回収し(Exo301)、Exo301がOBP-301と同様に強力な殺細胞効果、作用機序を有することをin vitroで確認した。その後、in vivoにて免疫のあるマウスの背側に腫瘍を2個作成し、片側のみを治療したところ未治療の腫瘍でも抗腫瘍効果を示した。またエクソソーム分泌阻害剤を投与したところ、抗腫瘍効果は減弱した。同様の実験を免疫のないマウスで行ったところ完全に抗腫瘍効果が消失し、アブスコパル効果にエクソソームも関与していることを示した。
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[Journal Article] Local oncolytic adenovirotherapy produces an abscopal effect via tumor-derived extracellular vesicles2021
Author(s)
Yoshihiko Kakiuchi, Shinji Kuroda, Nobuhiko Kanaya, Kento Kumon, Tomoko Tsumura, Masashi Hashimoto, Chiaki Yagi, Ryoma Sugimoto, Yuki Hamada, Satoru Kikuchi, Masahiko Nishizaki, Shunsuke Kagawa, Hiroshi Tazawa, Yasuo Urata, Toshiyoshi Fujiwara
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Journal Title
Molecular Therapy
Volume: 29
Pages: 2925-2930
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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