2021 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓癌癌免疫療法における腫瘍間質および間質内免疫抑制細胞群の機能解析
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20K17634
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
小川 久貴 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, Nitto核酸創薬共同研究部 主任研究員 (20621022)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キメラ抗原受容体T細胞 / CAR-T 細胞 / 膵がん / がん微小環境 / CD44v6 |
Outline of Annual Research Achievements |
標的がん細胞株としてK8284(膵臓癌自然発生マウスKPCマウスより樹立)、MC38 (マウス大腸がん細胞株)、B16 (マウスメラノーマ株)、4T1 (マウス乳がん細胞株) すべてでCD44v6の発現強度が低かったため、pBabe-CD44v6 (Plasmid #107970) を入手し遺伝子導入することで安定発現株を作製した。CD44v6に対する新規のCARコンストラクトを複数作製し、CARコンストラクト導入効率 (CARコンストラクトに含まれるIgG軽鎖に結合するプロテインLを用いたフローサイトメトリー)、in vitroでの細胞溶解能を検討した。その結果、5つともに大差のない結果であったため一つを選択した。対照T細胞としてCARコンストラクトを導入していない活性化T細胞を用いて、K8284-CD44v6、MC38-CD44v6、B16-CD44v6および4T1-CD44v6の皮下担がんモデルで実験を行った。その際、CAR-T細胞にはLuc2遺伝子を導入し、IVIS imaging systemを利用して腫瘍内へのCAR-T細胞の集積を観察した。同系皮下担がんモデルと、がん細胞以外のがん微小環境の影響を検討する目的で免疫不全マウスであるNSGマウスで同様の実験を行った。その結果、同系皮下担がんモデルでは認めなかった抗腫瘍効果が、NSGマウス皮下担がんモデルでは認め、より多くのCAR-T細胞が長期間腫瘍内で生存していることがわかった。以上の結果は、固形がんにおけるCAR-T細胞療法の抗腫瘍効果に関してがん細胞以外のがん微小環境が抵抗性の一因になっていることを示唆するデータでもあり、NSGマウスでの皮下担がん実験においても対照T細胞と比較して有意な抗腫瘍効果は得られているが、腫瘍拒絶には至っていないことから考えるとCAR-T細胞自体のpotencyも高める必要性を示唆するデータでもあった。
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