2022 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の転移制御におけるSmurf2-YY1axisの役割
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20K17640
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 菜実 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40867272)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / Smurf2 / YY1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまで行っていた研究テーマである「ユビキチンE3リガーゼSmurf2の大腸癌肝転移における分子機構解明」を発展させるものとして着想を得た。近年、転写因子YY1がSmurf2によってプロテアソーム分解されることが報告された。YY1は上皮間葉移行(EMT)を誘導し転移促進的に働くことが知られている。そこで本研究ではSmurf2の下流分子としてYY1に着目し「大腸癌肝転移におけるSmurf2-YY1 axisの機能解明」を目的とした。 まず臨床検体とSmurf2をノックダウンした大腸癌細胞株について、それぞれSmurf2とYY1の発現を比較検討したが、いずれも有意な相関を認めなかった。次にEMTマーカーの発現を検証したがいずれも有意差はなく、仮説に反してSmurf2、YY1、EMTの関連性は低いと考えられた。ただし、YY1をknock downすると細胞遊走能と浸潤能が有意に促進されることがin vitroで確認された。 そこで、最終年度では大腸癌の転移機構におけるYY1の機能についてさらに検討を行った。臨床検体を免疫染色したところ、YY1低発現は転移・術後再発・予後不良と有意に相関した。さらに、YY1の下流遺伝子を網羅的に解析すべく大腸癌細胞株における遺伝子発現についてマイクロアレイ解析をしたところ、YY1 knock downではControlと比較して細胞接着や癌転移と密接に関係するインテグリンファミリー分子であるITGAVとITGB1の発現上昇が確認され、Western blotと免疫染色でもYY1とITGAV・ITGB1の発現が負の相関関係にあることが確認された。 以上より、YY1は大腸癌細胞の遊走と浸潤を抑制し腫瘍抑制的な役割を果たすこと、その分子機序としてYY1によるITGAVとITGB1遺伝子のdown regulationが関与している事が示唆された。
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Research Products
(3 results)