2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K17641
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高根 希世子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60756112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腹膜偽粘液種 / DNAメチル化 / GNAS / KRAS |
Outline of Annual Research Achievements |
虫垂や卵巣を原発とする腫瘍が進展し、腹膜播種をきたす腹膜偽粘液腫(Pseudomyxoma peritonei:PMP)は、腫瘍細胞から分泌されるゼラチン様物質が腹腔内に貯留し、腹部膨満や腹痛などの様々な症状を呈する。100万人に1-2人の稀な疾患であり、5年生存率が30%~50%と報告されているが、患者の大多数は再発を繰り返し、再発に対する複数回の手術の実施など、患者のQOLは必ずしも高くない。近年我々は、腹膜偽粘液腫の低悪性度と高悪性度群の臨床検体を用い、アンプリコンシークエンスを行うことにより、発生にKRAS、GNAS遺伝子変異が関わり、TP53、PIK3-AKT pathway関連遺伝子が悪性化に関与することを見出した。そこで本申請課題では、臨床検体での全ゲノムシークエンス・RNA-Seq・メチル化解析を行い、PMPの発生・進展に関わる遺伝子変化を明らかにし、その治療標的遺伝候補を同定する。さらに、PMPの進展に関わる遺伝子群に関して、一般の大腸がんや腹膜播種との相同性を明らかにする。 現在すでに40検体のPMP凍結検体を薄切し終わっており、その中で特に腫瘍含有率が高いPMP16検体と8検体の正常大腸粘膜を用い、レーザーマイクロダイセクションで拡散抽出、さらにInfiniumビーズアレイを施行した。その結果PMPではDNAメチル化において大きく2つのエピジェノタイプがあることが判明した。さらに大腸原発のPMPと卵巣原発のPMPでDNAメチル化レベルに違いが見られており、同じPMPにもかかわらず原発が異なる場合は、PMPの発生起源が異なっている可能性があることが示唆された。また8検体のPMP検体のRNA-Seqが終了しており、DNAメチル化レベルが高く、発現が低い遺伝子群を抽出済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるPMP検体の集積150検体はすでに120検体まで終了しており、本年度を含めると目標検体数に達することは容易である。シークエンスおよびビーズアレイも随時施行できており、情報解析も滞ることなく勧められいる。しかしながら、当初予想していなかったが、今回発見された卵巣原発PMPと大腸原発PMPの期限の違いは卵巣原発PMPが現在10検体程度しか採取できてないことを考えると、その起源の違いを明確に突き止めるには至らないと考えられる。そのため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなるPMP検体の集積とシークエンスやInfiniumビーズアレイによる解析を行う。 すでに現在見つかっている、DNAメチル化レベルが上昇、発現量が減少しているドライバー候補遺伝子に対し、近似したサブタイプに属する大腸癌細胞株を用いてshRNAによるノックダウン実験を行う。新たな腫瘍抑制遺伝子候補や融合遺伝子候補に対しては、同遺伝子の発現が低い大腸癌細胞株および正常細胞株を用いて遺伝子発現実験を行う。これらの実験により、細胞増殖やムチン遺伝子の発現などに影響を及ぼすかどうか検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は学会がオンライン開催となったため、計上しなかった。
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