2021 Fiscal Year Research-status Report
膵癌リスク患者での膵癌早期発見におけるアポリポプロテインAIIの有用性
Project/Area Number |
20K17644
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
早崎 碧泉 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50772430)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アポリポプロテインAII / IPMC invasive |
Outline of Annual Research Achievements |
当科に紹介される膵癌リスク患者(膵管内乳頭粘液性腫瘍:IPMN、膵嚢胞、慢性膵炎、家族性膵癌など)および膵癌患者から初診時に血液を採取し、血漿として分離して、-80度冷凍保存している。 対象症例において、初診時・手術時・経過観察時に、血液検査(血算、生化学、腫瘍マーカーなど)・画像所見(IPMN国際ガイドラインで記載されているhigh risk stigmataやwossirome featuresに相当する所見)・病期(膵癌症例)・病理所見(手術症例)・臨床経過(膵癌リスク患者の悪性化、膵癌患者の再発・転移出現の有無や出現した日、生死や生死の確認日など)などの臨床データを収集している。 収集保存した血漿を用いて、APOA2 C-terminal ELISA kitによるapoAII -isoformsの測定を行っている。 今回、膵切除を施行されたIPMN症例を母集団として、最終病理診断によって、IPMAもしくは非浸潤型IPMC群と浸潤型のIPMC群の2群に分類して検討を行った。患者背景因子の単変量解析では、ヘモグロビン値、ApoAII-ATQ, -AT, ApoAII-ATQ/ApoAII-AT, 結節径, 膵体積に有意差を認めた。apoAII-isoformが浸潤型IPMCのリスクファクターとなりうるかを検討すべく、IPMNガイドラインのアルゴリズムに使用されている悪性化を示唆する所見とapoAII-isoformを含めた多変量解析を行ったところ、嚢胞内結節径とapoAII-ATQ/apoAII AT ratioが独立した有意な予後因子として同定された。apoAII-isoformはIPMN症例における浸潤癌有無の判断に有用である可能性があり、論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵切除を施行されたIPMN症例を母集団として、最終病理診断によって、IPMAもしくは非浸潤型IPMC群と浸潤型のIPMC群の2群に分類して検討を行った。apoAII-isoformが浸潤型IPMCのリスクファクターとなりうるかを検討すべく、IPMNガイドラインのアルゴリズムに使用されている悪性化を示唆する所見とapoAII-isoformを含めた多変量解析を行ったところ、嚢胞内結節径とapoAII-ATQ/apoAII AT ratioが独立した有意な予後因子として同定され、これまでにない知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
論文投稿を進める。上記の臨床研究でapoAII-isoformが浸潤型IPMCの拾い上げに有効かもしれないという結論に至った。そのメカニズムにつき、動物実験により検証していく。
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Causes of Carryover |
Apolipoprotein AIIに使用するELISA kitの必要数が当初の計画よりも少なく済んだため。 次年度は論文投稿や基礎的実験において使用予定である。
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