2023 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌リスク患者での膵癌早期発見におけるアポリポプロテインAIIの有用性
Project/Area Number |
20K17644
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
早崎 碧泉 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50772430)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アポリポプロテインAII |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌リスク患者(膵管内乳頭粘液性腫瘍:IPMN、膵嚢胞、慢性膵炎、家族性膵癌など)または膵癌患者を対象とし、治療開始前に血液を採取し、血漿として分離して、-80度冷凍保存した。対象症例において、初診時・手術時・経過観察時に、血液検査(血算、生化学、腫瘍マーカーなど)・画像所見(腫瘍有無、腫瘍径、血管浸潤有無、リンパ節腫大、IPMNの場合はIPMN国際ガイドラインで記載されているhigh risk stigmataやwossirome featuresに相当する所見)・臨床病期(膵癌症例)・病理診断(手術症例)・臨床経過(膵癌リスク患者の悪性化、膵癌患者の再発・転移出現の有無や出現した日、生死、最終生存日)などの臨床データを収集した。また、収集保存した血漿を用いて、APOA2 C-terminal ELISA kitによりapoAII -isoformsの測定を行った。手術適応あり膵切除を施行されたIPMN 43例症を母集団として、最終病理診断によって、IPMAもしくは非浸潤型IPMC群と浸潤型IPMC群の2群に分類して検討を行った。患者背景因子を2群間で比較すると、ヘモグロビン値、ApoAII-ATQ, -AT, ApoAII-ATQ/ApoAII-AT, 嚢胞内結節径, 膵体積に有意差を認めた。浸潤型IPMCを予測する因子を求めるために、IPMNガイドラインのアルゴリズムに使用されている悪性化を示唆する所見(嚢胞径、主膵管径、嚢胞内結節径、CA19-9値、リンパ節腫大、嚢胞増大速度など)とapoAII-isoformを含めて多変量解析を行ったところ、嚢胞内結節径とapoAII-ATQ/apoAII AT ratioが有意な因子として同定された。apoAII isoformはIPMN症例における浸潤癌有無の判断に有用である可能性があると考えられた。
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