2020 Fiscal Year Research-status Report
HOXA5制御を介した脱癌幹細胞化による大腸癌治療抵抗性の克服
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20K17647
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
波多 豪 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (80749747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腸癌 / HOXA5 / 治療抵抗性 / 癌幹細胞 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
癌幹細胞は、腫瘍組織中で少数の細胞集団として存在し、自己複製能と多分化能、高い造腫瘍能を特徴とする。癌の増殖、転移に関わっており、大腸癌薬物療法の主軸として使用される5FUやOxaliplatinの薬剤耐性においても関与が知られている。2015年には、大腸癌においてHOXA5が癌幹細胞からの分化、つまり「脱癌幹細胞化」を促進する分子として報告された。Lgr5やDCLK1、CD44v9など癌細胞マーカーを治療標的とした研究は多いが、「脱癌幹細胞マーカー」に着目した研究はほとんどない。HOXA5の制御機構は、現在までの報告からエピゲノムの関与が示唆され、殺細胞性抗癌薬に対する耐性を獲得した癌幹細胞に対してHDAC阻害剤やDNAメチル化阻害薬によるHOXA5のエピゲノム調節を行うことで、癌幹細胞から娘細胞への分化促進を介して耐性を克服できると考えられる。エピゲノム制御による癌幹細胞を標的とした治療抵抗性の克服と、そのメカニズムを明らかにすることを目的として本研究を計画した。 HOXA5のノックダウン、強制発現モデルを作成した。ノックダウンについては、shRNA、およびsiRNAを用いた。強制発現モデルについては、発現ベクターの導入を行なった。増殖、浸潤、スフィアアッセイなどの細胞実験、および癌幹細胞マーカーやEMTマーカーの発現の確認を行なっている。HOXA5が転写因子としてどのような遺伝子の転写・発現に関わっているのか検証中である。また、当院で手術した大腸癌臨床検体を用いて、免疫組織学的染色を行った。約100例の免疫組織学的染色により、HOXA5は大腸癌患者の予後との相関があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず大腸癌におけるHOXA5の発現意義を明らかにすべく、手術切除検体を用いた免疫組織学的染色を行った。HOXA5を標識するための抗体選定に時間を要したものの、約100例の染色を行った。単変量解析、多変量解析を含めた統計解析を行い、染色強度と予後との関連性を示すことができた。 HOXA5の生物学的意義を調べるべく細胞実験を進めている。ただ、shRNA導入を行うも十分なノックダウンが得られず、shRNA選定、また、siRNAでの実験を進めている状態である。強制発現モデルについては、プラスミドの細胞への導入は順調である。また、大腸癌細胞株の薬剤耐性株樹立へ向けて抗癌剤曝露を継続しているが、これについては、耐性獲得までまだ少し時間を要すると考えられる。ただし、いずれも研究初期段階でのトラブルのため、大きなタイムロスとはならず、研究は概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
手術切除検体を用いた免疫組織学的染色において、今後症例数を増やして、さらに正確性のある解析を行う予定である。現在のところ追加で50サンプル程度を検討しており、今後染色を進めていく。 細胞実験については、HDAC阻害薬などのエピゲノム調節薬を用いることでHOXA5発現が変化することをpilot実験で結果を得ており、数種類の細胞株を用いて同様の現象が見られるかの検証を進める。特に、薬剤耐性株が樹立された段階で、HOXA5発現の変化を調べ、その発現変化にヒストンアセチル化やDNAメチル化がどのように関与しているか明らかにしていく。また、HOXA5発現と、細胞のlineage、EMTとの関連についても注目しており、PCRやウェスタンブロットによるmRNA、タンパクの解析を引き続き行っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による緊急事態宣言等の影響により、研究の進捗状況に遅れが生じたため
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