2020 Fiscal Year Research-status Report
循環腫瘍細胞を用いた肝細胞癌の転移制御のための研究
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20K17654
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
濱岡 道則 広島大学, 医系科学研究科(医), 専門研究員 (70805639)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 循環腫瘍細胞 / 肝細胞癌 / 癌免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は過去に、肝細胞癌患者において肝細胞癌に特異的に高発現している膜糖蛋白質であるGlypican3(GPC3)を標的に磁気細胞分離およびFlow Cytometryを用いて血中の循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell; CTC)を検出する方法を確立した。 今回、癌の進行やCTCの発生に影響を与える因子の解析およびCTCの免疫回避機構の解明のためにマウスを用いた研究を行った。まずはマウスでも同様にGPC3陽性CTCが検出できるかを確認するために、GPC3陽性である肝細胞癌細胞株のHepG2を尾静脈注射し、肝細胞癌患者のCTC検出プロトコールと同様の方法でCTC検出を行った。投与したHepG2の細胞濃度依存性に正の相関をもってGPC3陽性細胞を検出することが可能であることを確認した。 腫瘍の増殖過程においてどの段階でCTCが検出できるようになるのかを評価するために免疫不全マウスにHepG2を用いた肝癌モデルの作成を試みたが、少量の細胞では癌の形成はされなかった。そこでマウス肝癌細胞株であるHepa1-6を用いる方針とした。Hepa1-6にレンチウイルスベクターによる遺伝子導入でGPC3を発現した細胞を作成した。 Hepa1-6を用いた多発肝癌モデルと単発肝癌モデルの2つのモデルを作成中である。多発肝癌モデルはHepa1-6の脾注・脾摘による転移性肝癌を作成する。一方、単発肝癌モデルは多発モデルで作成された腫瘍片を他のマウスの肝臓に移植し作成する。両モデルとも作成可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルの確立にある程度の見通しがたったので、次年度はマウスを用いた肝癌細胞のCTCの検出および機能解析が出来ると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスを用いた肝癌細胞のCTC検出を行っていく。当初はヒトの細胞株を用いたモデルを予定していたが、それをマウスに応用することは困難であったため、マウスの細胞株での研究に切り替える。GPC3の発現量とCTCの検出および予後について解析を行う。
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Causes of Carryover |
令和2年度に学術集会での発表を行う予定であったが、データ不十分のため発表は行えず、旅費は使用しなかった。 当初予定していたヒトの細胞株の使用ではなくマウスの細胞株に遺伝子導入する手法に研究計画を変更したため、次年度は遺伝子導入に要するプラスミドなどの必要物品に計上する。また、多発肝癌モデルと単発肝癌モデルの2つのマウスモデルにおける循環腫瘍細胞の検出とその機能解析に用いる試薬に計上する。
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