2020 Fiscal Year Research-status Report
To investigate the exosomal microRNA within portal blood for the aim of individualization of the multimodal therapy for pancreatic cancer
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20K17669
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 大作 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60571396)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / リキッドバイオプシー / micro RNA / 補助化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では画像診断でとらえられない膵癌のsubclinical腫瘍の実態を解明し,それに対する治療効果モニタリングに有用な診断ツールを開発することで,最適な治療を過不足なく行える,個別化した膵癌集学的治療の確立を最終目標としている. そこで,subclinical腫瘍に対する治療である術後補助化学療法について着目し,実験を行っている. まず,2016年までに膵癌に対して根治切除施行後補助化学療法を行い,術後経過の判明している症例を対象とし,27症例の術後保存血液サンプルを用いてmicro RNA(以下miR)の網羅的発現検索を行い,subclinical tumorの有無,補助化学療法後再発の有無,及び補助化学量状抵抗性の有無によって発現を比較検討し,候補miRを選出した. 一方,膵癌手術症例の門脈血液を前向きに保存しており,予後情報の蓄積とともに今後検討を行える体制を整えている.ここまではほぼ予定通りの進捗であるが,計画に入れていた膵癌のオルガノイド培養はうまく行かず,この培養液から得られる候補遺伝子から絞り込みを行うことは困難な状態であると考えた. そこで,膵癌の抗癌剤耐性に関与する遺伝子群を標的とするmiRを同定することを目的に,膵癌細胞株と抗癌剤耐性膵癌細胞株における網羅的遺伝子発現比較を行い,GSEAにより抗癌剤耐性株に特徴的な遺伝子群を抽出した.その後,膵癌細胞株・抗癌剤耐性膵癌細胞株を用いて,miRの発現レベルの比較と細胞株間の機能比較を行い,候補遺伝子の選出が可能であった. 現在までの結果について,順次発表していく予定である.なお,2021年4月に外科学会で発表し,2021年6月に開催される肝胆膵外科学会,7月に開催される消化器外科学会で発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では画像診断でとらえられないsubclinical腫瘍の実態を解明し,それに対する治療効果モニタリングに有用な診断ツールを開発することで,最適な治療を過不足なく行える,個別化した膵癌集学的治療の確立を最終目標としている. そこで,subclinical腫瘍に対する治療である術後補助化学療法について着目し,実験を行っている. 患者予後で分類した血液サンプル中のmiRのマイクロアレイ比較から候補miRを選出は可能であった. 一方,膵癌手術症例の門脈血液を前向きに保存しており,予後情報の蓄積とともに今後検討を行える体制を整えている.ここまではほぼ予定通りの進捗であるが,計画に入れていた膵癌のオルガノイド培養はうまく行かず,この培養液から得られる候補遺伝子から絞り込みを行うことは困難な状態であると考えた. そこで,膵癌の抗癌剤耐性に関与する遺伝子群を標的とするmiRを同定することを目的に,膵癌細胞株と抗癌剤耐性膵癌細胞株における網羅的遺伝子発現比較を行い,GSEAにより抗癌剤耐性株に特徴的な遺伝子群を抽出した.その後,膵癌細胞株・抗癌剤耐性膵癌細胞株を用いて,miRの発現レベルの比較と細胞株間の機能比較を行い,候補遺伝子の選出が可能であった. このため,予定通りの進捗とはなっていないが,代替方法によって候補遺伝子の同定は進んでおり,前向きに集めたサンプルによる検証が可能な状態になりつつあり,概ね順調に進行していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
検討の結果,miR-26a-5pの発現が,抗癌剤耐性を示すsubclinical tumorの存在を示す可能性が示された.今後,細胞実験によって候補遺伝子の発現と抗癌剤耐性が関与するのかを検討し,さらに強制発現もしくはknock downの遺伝子操作によって,機能に変化があるかどうかを調べる予定である.また,GSEAの結果から関与が疑われるIntegrin-mediated cell adhesionに関連する蛋白の発現を切除標本で検討し,補助化学療法後の再発などに関与しえいるかどうか評価する.また,前向きに保存している門脈血サンプルで,予想した補助化学療法との関連が本当に認められるかを検討する予定である.
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Causes of Carryover |
前述の通り研究計画に若干の変更があり、さらに研究の進捗がコロナウィルスによる緊急事態宣言で、停止した時期があったこともあり、次年度へ繰り越すこととなったが、計画は概ね順調に進んでおり、最終的には計画通り使用する予定である.
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Research Products
(1 results)