2020 Fiscal Year Research-status Report
肝疾患根治術の為の肝組織の統合的理解と肝再生療法への展開
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20K17678
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安川 紘矢 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (30868071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ALPPS / 肝再生 / eNOS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はAssociating Liver Partition and Portal vein ligation for Staged hepatectomy(ALPPS)手術における、肝再生促進の機序解明である。具体的には、1)肝組織内の低酸素状態が肝再生を促進させること, 2)その機序は炎症性サイトカインではなく, NOS活性化とNO誘導にあること, の2点を解明し、肝再生療法への展開を図る。現在、1)に関して研究を行っており、以下に実績の概要を記す。 まずALPPSモデルのラットにおける血流評価を超音波ドプラー法で行ったところ、残肝の門脈血流速度は変化なかったが、肝動脈血流速度はcontrolと比較して上昇していた。門脈結紮モデルでは逆に肝動脈血流速度は低下していた。この差が肝組織内の酸素飽和度の違いかどうかを検討するため、肝組織内の酸素飽和度の測定を予定している。また、血液の粘性と血流の速度によってもたらされる応力であるshear stressと, 内皮一酸化窒素合成酵素 (eNOS) の活性化およびNO誘導が肝再生促進因子であり、ALPPSとPVLは,その術式が相違するため, やはり血流動態の差が肝再生の差であることが示唆された. そこで, shear stressならびにeNOS活性化とALPPS術後の肝再生現象との関連に着目してL-NAME(eNOS阻害剤)を投与したALPPSモデルについて検討したところ, 有意な肝再生抑制が確認された. さらにMolsidomine(NO産生剤)投与PVLモデルにおける肝再生促進効果も確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のタイムテーブル通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
組織内酸素飽和度測定機器を用いた、門脈結紮モデルとALPPSモデルの肝組織内酸素飽和度の違いを明らかにする。また、L-NAME、Molsidomineをそれぞれ門脈結紮モデル、ALPPSモデルのラットに投与した際の酸素分圧測定を行い、それぞれの動態を確認する。 本研究のタイムスケジュールである、2)p53, PTEN, AMPKなどの低酸素関連因子のリン酸化亢進の有無と,Akt/eNOSリン酸化との関連の検証ならびに3)Molsidomine投与PVLモデルにおける細胞増殖シグナル亢進の評価と術後肝機能評価を並行して行っていく。
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Causes of Carryover |
購入物品の納品日が次年度となったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は令和3年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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