2021 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌における腫瘍随伴マクロファージに着目した免疫放射線療法の新規作用機序の解明
Project/Area Number |
20K17695
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中嶋 正太郎 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50723417)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫放射線療法 / 腫瘍随伴マクロファージ / 食堂扁平上皮癌 / 免疫チェックポイント分子 / CD163 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線照射が腫瘍微小環境に豊富に存在する腫瘍随伴マクロファージ(TAM)に及ぼす影響を明らかにするため、本研究では放射線照射前後(生検標本と手術摘出標本の比較)の食道扁平上皮癌(ESCC)切片を用いてTAMのマーカーであるCD163の免疫組織化学染色を行い、放射線照射がTAMに及ぼす影響について検討を行った。術前放射線療法を行ったESCC患者切片では、照射前と比較しCD163の発現レベルが有意に増加することが明らかとなった。 また、in vitroおいて末梢血単球から樹立したTAM様細胞に放射線照射を行い、CD163および免疫チェックポイント関連分子であるPD-L1, PD-L2の発現レベルを解析したところ、放射線照射によりTAM様細胞のCD163, PD-L1, PD-L2の発現レベルの有意な増加が観察された。したがって、放射線照射によりTAMのフェノタイプがM2にシフトし、PD-L1などの免疫チェックポイント関連分子の発現が増加する可能性が示唆された。 また放射線照射がTAMのM2分極を促進するメカニズムに関し、腫瘍細胞側への影響に着目した検討も行った。TAMのM2分極はコロニー刺激因子(CSF-1)やインターロイキン34(IL-34)により誘導されることが知られている。そこでESCC細胞株に対し放射線照射を行い、CSF-1およびIL-34 の発現が誘導されるか否か検討を行ったところ、照射によりCSF-1の発現誘導はほとんど見られなかったものの、IL-34の発現が顕著に促進することが明らかとなった。 本研究結果より、ESCCへの放射線照射によりTAMのM2分極が促進すること、またTAMにおけるPD-L1などの免疫チェックポイント分子の発現が増加すること、さらにTAMのM2分極には腫瘍細胞から産生されるIL-34が関与する可能性が明らかとなった。
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