2021 Fiscal Year Research-status Report
人工知能アルゴリズムによる音響解析を用いたLVAD診断システムの構築
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20K17715
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Research Institution | National Hospital Organization Osaka National Hospital Institute for Clinical Reserch |
Principal Investigator |
三隅 祐輔 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (20631477)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 植込み型左室補助人工心臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
補助人工心臓(LVAD)装着患者の駆動音データと、臨床的なアウトカムとの関係性に関して、機械学習を用いた予測アルゴリズムを作成した。この研究成果に関する論文発表を行った。概要を以下に記す。 LVAD装着患者の駆動音を小型高感度マイクで収録し、カスタムソフトウェアを用いて音響信号を解析した。LVADポンプ回転に伴う楽音及びその他のノイズについて、周波数成分と振幅成分等を抽出した。続いて音響データの数値化(特徴量の抽出)、予測因子の選択(重要特徴量を決定)、これらと臨床的に定義したアウトカム(今年度は、血清lactate dehydrogenase(LDH)に設定した)との比較検討を行った。機械学習による予測モデルの作成と検証を行った。 LVAD装着患者12例より聴取した音響データ(n=218)を解析した。アウトカムは、血清LDH値の上昇時の音響69(32%)を「有意」、残り149(68%)を「有意でない」と設定した。時間周波数解析を用いて各音響データから20の特徴量を抽出し、その中からアウトカムとの相関が強い2つの重要特徴量を選択した。この重要特徴量を用いて機械学習モデル間の比較を行い、decision tree学習法にて予測モデルを作成した。交差検定でのモデル性能評価は、陽性的中率80%、area-under-curve 0.71であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のうち、「①実際の症例で録音されたLVAD駆動音と各症例のLVAD駆動状況や循環動態因子との関連の解明」、については、新たな臨床項目である血清LDH値を指標とし、LVAD駆動音との関連性が明らかになった。一方で、現在本邦で適用が拡大している磁気浮上型LVADの音響については、新型感染症に伴う患者と研究者との接触制限により十分な音響情報が取得できず、解析に耐えうるデータが準備できなかった。また、もう一つの研究項目「②LVADを組み込んだ模擬循環回路を用いた、LVAD駆動音とLVAD駆動状況や循環動態因子の関連の検証」、については、模擬循環回路の選定は完了しているものの、依然 解析対象機種の実験用サンプルの調達が困難な状況が続いている。これらの理由から、研究全体の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画のうち、「①実際の症例で録音されたLVAD駆動音と各症例のLVAD駆動状況や循環動態因子との関連の解明」、については、新規機種(磁気浮上型LVAD)の音響採取を継続し、充分量のデータが蓄積された段階で解析を開始する。また、既に録音を終えていた他機種での解析も継続して行う。もう一つの研究項目「②LVADを組み込んだ模擬循環回路を用いた、LVAD駆動音とLVAD駆動状況や循環動態因子の関連の検証」、については、実験用サンプルの調達を試みつつ、代替案も検討しながら実験環境の構築を継続する。研究の進捗に困難な状況が続いているが、機械学習を用いたLVAD音響データの解析によりLVAD異常検出を可能とし、LVAD合併症の早期診断や在宅患者における遠隔診断システムのための技術的基盤を確立 すべく、継続して研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
LVADを組み込んだ模擬循環回路を用いた、LVAD駆動音とLVAD駆動状況や循環動態因子の関連の検証、を企画していたが、解析対象機種の実験用サンプルの調達が 困難のため本年度での実施は見送った。代替実験の方法については現在検討中である。
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