2020 Fiscal Year Research-status Report
大動脈瘤ハイブリッド治療を目指したFAK阻害剤局所投与法の開発
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20K17718
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原田 剛佑 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60650322)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / 薬物療法 / 徐放性製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤は破裂による突然死を来たし、高齢者男性死因の上位を占める疾患である。破裂死防止のためには現在のところ、人工血管置換術またはステントグラフト内挿術による外科的治療法しかない。近年は高齢患者が増加しており、低侵襲手術であるステントグラフト内挿術の割合が増加しているが、術後遠隔期にエンドリーク等による瘤径拡大を来たし、再手術を要して結局高侵襲手術を行わなければならなくなることがある。 研究代表者は、これまでの研究において、マクロファージにおけるfocal adhesion kinase(FAK、接着斑キナーゼ)の活性化が大動脈瘤の炎症増幅と組織破壊の原因であることを発見した。本研究の目的は、FAK阻害効果を長期間発揮できる薬剤を初回のステントグラフト内挿術と同時に動脈瘤内へ限局的に投与する方法を新規に開発することである。 令和2年度には以下の計画を実施した。 FAK阻害剤を含有した徐放製剤を作製し、大動脈瘤に関与する主な炎症細胞であるマクロファージの培養実験系を用いてその効果を確認して、作製条件を最適化した。具体的には、FAK阻害剤を用い、水中油滴(O/W型)エマルション法で、生分解性ポリマーであるポリ乳酸・グリコール酸(PLGA)を基剤とする徐放性マイクロスフェアを作製した。野生型雄マウス腹腔由来の培養マクロファージにFAK阻害剤含有徐放製剤を添加し、tumor necrosis factor-α(TNF-α)による炎症刺激を加えた。FAK活性化(リン酸化型FAK)をウェスタンブロットで定量的に解析した結果、FAK阻害剤含有徐放製剤はFAK阻害剤単独に比べてFAK活性阻害効果が長時間持続する徐放効果を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FAK阻害剤含有徐放製剤の作製条件の最適化に時間を有したため、マクロファージのTNF-α刺激による実験でのFAK阻害剤含有徐放製剤の効果は評価できたものの、当初令和2年度に計画していたLPSによる刺激やNOS2亢進の評価などを今後行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、やや遅れている培養マクロファージに対するFAK阻害剤含有徐放製剤の効果検証実験を優先的に行う。あわせて、令和3年度の当初予定であるマウス大動脈瘤モデルを用いた実験を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
本年度行ったマクロファージに対するFAK阻害剤含有徐放製剤の効果を検討する実験において、LPS刺激やNOS2亢進の評価を行う予定であったが、令和3年度に持ち越しとなったため未使用額が生じた。令和3年度の研究費と併せて、この実験に用いる試薬や消耗品に使用する。
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Research Products
(1 results)