2021 Fiscal Year Annual Research Report
セリンプロテアーゼ阻害剤による下肢虚血再灌流障害に伴う腎障害抑制効果の検証
Project/Area Number |
20K17720
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川久保 英介 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50644754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性下肢虚血 / 虚血再灌流障害 / ナファモスタットメシル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性下肢動脈閉塞は、虚血再灌流障害(Ischemia-Reperfusion injury:IRI)を合併することがあり、IRIによって急性呼吸不全や急性腎不全、コンパートメント症候群を合併した場合は、予後不良とされる。またIRIの病態形成には、再灌流に伴う活性酸素発生・酸化ストレスおよび白血球活性化と組織浸潤が中心的役割をしており、治療ターゲットとして研究が行われている。今回我々はセリンプロテアーゼ阻害剤の一つであるナファモスタットメシル酸の、下肢虚血再灌流後の臓器保護作用について検証した。 In vivo実験では、まずマウス下肢虚血再灌流モデルを作製した。マウス大腿・大転子部をバンドで駆血する下肢虚血モデルでは、2時間の両下肢虚血および再灌流を行い、組織学的には筋組織の浮腫・繊維損傷、腎組織の近位尿細管壊死等の組織障害を確認した。また血液生化学検査でもBUN, Cre, AST, ALT, CPK上昇を認め、再灌流後の肝・腎・筋障害を確認し、マウス下肢虚血・再灌流モデルの妥当性を確認した。 次に全身麻酔のみを行う群(=Sham:S群)、虚血再灌流のみを行う群(=Ischemia-Reperfusion:IR群)、虚血再灌流+NM 2mg/kg投与群(IR+NM群)に分けて、再灌流後0時間(虚血のみ)および6時間後の虚血再灌流障害度を、血液生化学検査によって評価した。その結果、AST・ALTはIR+NM群で有意な改善を認め肝障害は抑制されたが、腎障害・筋障害に対しては有意な抑制効果を認めなかった。両下肢虚血によりナファモスタット酸投与で改善しない不可逆的な高度組織障害を来した可能性を考慮し、片側下肢虚血マウスモデルも作成し検証している。
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