2020 Fiscal Year Research-status Report
体外循環によるミトコンドリア障害を標的としたプレニル化阻害薬による新たな治療開発
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20K17727
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
辻 大介 杏林大学, 医学部, 助教 (00826498)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体外循環 / プレニル化 / ミトコンドリア / ファルネシルトランスフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
小動物用ローラーポンプ及び小動物用人工肺を準備し、ラットの体外循環モデルを作成した。ラットの体外循環モデルは過去の報告を参考に全身麻酔下でおこなった。吸入麻酔薬で麻酔を行ったラットに対し気管挿管を行い人工呼吸管理を確立した。その後大腿動脈並びに総頸静脈に血管留置針をカニュレーションし、体外循環を確立した。体外循環の確立に際し、出血による循環維持困難や、血管カニュレーションに難渋するといった場面も見られたがおおむねモデル作成は成功している。体外循環中の管理は観血的動脈圧及び心電図、経皮的酸素飽和度をリアルタイムに測定し、生体情報に異常が生じていないことを確認している。体外循環を離脱する際は出血による循環動態の変化や血管留置針による血管損傷などがみられ、今後も安定した体外循環確立に向けて手技の向上が必要である。体外循環を確立したモデルに対しては同時に血液検体の採取、筋肉検体の採取を行った。検体の採取は体外循環の確立前、確立後、確立後30分、60分、120分に採取し、経時的な変化を観察できるようにしている。採取した検体は今後解析を行い、炎症反応の程度の評価、ミトコンドリア機能の評価を行うよていである。ミトコンドリア機能の評価に間しては、筋肉検体を電子顕微鏡で観察し、ミトコンドリア形態の経時的な評価、血中ミトコンドリアDNA値の推移、酸素消費量測定によるミトコンドリア活性の評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ窩で実験室の利用ができない期間があり、研究の進行がやや遅れている。また、体外循環用ローラーポンプ並びに小動物用人工肺の納品が遅延し、研究の開始が遅延してしまった。しかしながらラットを用いた体外循環の確立や検体採取の手法の確立はおおむね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更はない。体外循環を確立したラットに対して検体採取を行い、解析を行う。本研究は体外循環によるミトコンドリア障害と、それに対するファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬の効果を検証する研究であるが、まずはファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬を投与しない状態で、体外循環による炎症反応の上昇並びにミトコンドリア障害が生じていることを確認する。確認方法は血液検体による炎症マーカーの測定及び骨格筋におけるミトコンドリア形態の変化の観察、血液検体中のミトコンドリアDNAの測定、組織中のミトコンドリア活性の評価で行う。体外循環における炎症反応の上昇及びミトコンドリア障害が生じることは過去に報告されているが、本研究における体外循環モデルでも同様の変化が起こることを確認する。本研究における体外循環モデルでも炎症反応の上昇ならびにミトコンドリア障害が生じることを確認したうえで、同様のモデルにファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬を投与し、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬による抗炎症作用、ミトコンドリア保護作用を検証する。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ窩で研究の進捗状況に遅延が生じている。本来行うはずであった血液検体の解析及びミトコンドリア機能の解析が未実施である。そのためこれらの解析を行うための物品の購入を次年度に行う予定である。
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