2020 Fiscal Year Research-status Report
LILRB4免疫チェックポイント機構の解明と肺癌における臨床的意義の検討
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20K17737
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 遼太 東北大学, 大学病院, 特任助手 (40647450)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、免疫抑制性受容体 Leukocyte Immunoglobulin-like Receptor B4(LILRB4, 以下B4)免疫チェックポイント機構について、肺癌における腫瘍免疫制御への関与を明らかにする事である。今年度は主に、肺癌検体における癌細胞のB4に対するリガンドであるB4L1ならびに癌微小環境中の免疫細胞のB4発現の解析を目的とする研究を進めてきた。 当初の研究計画の通りに肺がん手術検体におけるB4、B4L1などの評価を行った。項目として、腫瘍細胞上のB4L1やApoE、腫瘍浸潤リンパ球におけるB4、CD14、CD3、CD20、CD33などについて評価を行った。さらに、各種結果と臨床情報(組織型、病期、生存率など)について解析を行い相関関係を検討した。ここまで腺癌23例、扁平上皮癌17例について評価、解析を行ってきた。 ここまでの評価対象症例においては、腫瘍細胞上でのB4L1発現は約半数の症例に認められた。B4発現群と非発現群について、病期、組織型、脈管浸潤の有無、EGFR遺伝子変異の有無、術後5年生存率などにつき解析を行ったが、両群間における有意差は認められなかった。 また、腫瘍浸潤リンパ節におけるB4高発現を解析症例の約2割で認めたが、B4高発現群とB4低発現群間においても同様の解析では有意差を認めなかった。有意差はないものの腺癌症例と比較して、扁平上皮癌症例にB4高発現が多い傾向があった。 現在の解析対象症例は手術症例の一部であるため、今後さらに解析症例数を増やし、引き続き解析を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの肺がん手術検体を用いた解析により、今後さらに評価すべき項目なども検討できている。現時点の解析では有意差を持つ結果は認めていないが、症例数を増やして引き続き評価、解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
肺がん手術検体を用いた評価、解析については引き続き継続していく。 当初より計画している、B4ノックアウトマウス、B4L1ノックアウト肺がん細胞株を用いた発がん実験についても継続している。発がん実験系が確立したところで抗B4抗体および抗B4L1抗体を用いた抗腫瘍作用の評価につき検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による旅費の減少が主な原因と考えられる。多くの学会が開催中止やオンライン開催となっていることによる学会出張の減少などによる。 状況が改善すれば今後の学会出張費に充てるが、これから先にも続くようであれば他の用途に使用していく。
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