2021 Fiscal Year Research-status Report
LILRB4免疫チェックポイント機構の解明と肺癌における臨床的意義の検討
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20K17737
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 遼太 東北大学, 大学病院, 特任助手 (40647450)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、免疫抑制性受容体 Leukocyte Immunoglobulin-like Receptor B4(LILRB4, 以下B4)免疫チェックポイント機構について、肺がんにおける腫瘍免疫制御への関与を明らかにする事である。 前年度に引き続き、肺がん手術検体における評価を行った。症例数を増やし、2011年から2013年に東北大学病院呼吸器外科で肺切除を施行した症例のうち、191症例を解析対象とした。これらの症例のうち、142例(74.3%)が腺がん、49例(25.7%)が扁平上皮がんであった。今回の解析により、扁平上皮がんB4陽性細胞浸潤レベルが、腺がんと比較して有意に高いことが明らかになった。 腺がん、扁平上皮がん各組織型について、B4高発現群と低発現群とで臨床病理学的因子との関連性を検討した。腺がんでは18.3%(26/142)でB4高発現が認められ、B4高発現群では血管浸潤を呈する症例の頻度が有意に高かった。また、有意差は見られないもののB4高発現群でがん細胞の分化度が低い傾向を認めた。扁平上皮がんでは40.8%(24/49)と高い割合でB4高発現が認められたが、B4発現レベルと関連している臨床病理学的因子は見出せなかった。 各組織型、病期毎の解析を行った結果、腺がん病理病期Ⅰ期において、B4高発現群ではB4低発現群と比較して無再発生存期間が有意に短かった。その一方で生存期間には有意差は見られなかった。また、扁平上皮がんにおいては、無再発生存期間および生存期間いずれも有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の肺がん手術検体を用いた解析結果を踏まえて、解析症例を増やしたところ、有意差を認める項目が確認できた。ここまでの結果から、肺腺がんにおいては、B4高発現は高悪性度と結びつく傾向が見られている。これらの傾向からさらに今後評価すべき項目を検討し、引き続き解析していく。
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Strategy for Future Research Activity |
肺がん手術検体を用いた評価、解析については引き続き継続していく。 当初より計画しているB4ノックアウトマウス、B4L1ノックアウト肺がん細胞株を用いた発がん実験についても継続している。B4ノックアウトマウスに肺がん細胞を静注する転移性肺腫瘍モデルを用いて転移巣の形成に変化を及ぼすか評価する実験、また、それら転移モデルに抗B4抗体を投与し抗腫瘍作用を検討するための実験も行っている。
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Causes of Carryover |
少額であり、概ね計画通りに使用できている。
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