2022 Fiscal Year Annual Research Report
LILRB4免疫チェックポイント機構の解明と肺癌における臨床的意義の検討
Project/Area Number |
20K17737
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 遼太 東北大学, 加齢医学研究所, 分野研究員 (40647450)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、免疫抑制性受容体 Leukocyte Immunoglobulin-like Receptor B4(LILRB4, 以下B4)免疫チェックポイント機構について、肺がんにおける腫瘍免疫制御への関与を明らかにする事である。 近年、骨髄由来抑制性細胞(MDSCs)ががんの進展を促進する役割を果たしていること、MDSCsにB4(マウスではその相同受容体であるgp49B)が発現していることが明らかにされている。 今年度は、マウス肺がん細胞と肺がん転移モデルマウスを用いて、B4/gp49B免疫抑制機構の役割の解明を目指した。 肺がん細胞を経尾静脈移植する肺がん転移モデルマウスを野生型マウスおよびgp49Bノックアウトマウスで作成したところ、gp49Bノックアウトマウスにおいて転移巣の形成が抑制される結果となり、全身的なgp49B欠損ががん転移の抑制に関与していることが示唆された。gp49Bノックアウトマウスから得られたMDSCsとマウス肺がん細胞を共培養したところ、肺がん細胞の増殖や遊走が抑制されることが示され、gp49B欠損によるがん転移抑制の機序として考えられた。また、gp49BノックアウトMDSCsにおいては、腫瘍進展促進的にはたらくサイトカインであるIL-10、IL-1β、TGF-βの分泌あるいはmRNA発現は低く、逆に抗腫瘍性サイトカインTNF-αは高く、さらに血管新生に関与するVEGF-α、MMP-9の発現は低いことが明らかになった。 これらの結果から、B4/gp49B免疫抑制機構は肺がんの進展に関与し、その機序としてがん微小環境においてMDSCsから分泌される液性因子を介した免疫抑制が関与している可能性が示唆された。
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