2022 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌におけるドライバー遺伝子変異ごとの核異型と細胞像の特徴の解明
Project/Area Number |
20K17738
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小林 さやか 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (80765694)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺腺癌細胞株 / RNA抽出 / micro RNA / EGFR遺伝子変異 / KRAS遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肺腺癌組織切除検体から遺伝子異常を検索し、遺伝子異常ごとの核の形状の特徴を画像解析手法によって明らかにすることである。補助事業期間延長承認申請および昨年度の研究実施状況報告書の研究の推進方策では、令和4年度前半にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからのDNA抽出、EGFR, KRAS遺伝子の変異部位を遺伝子増幅させ、その増幅産物から塩基配列を決定させ、両遺伝子の変異配列の有無を検索する計画であった。しかしEGFR, KRAS遺伝子変異の有無をある種のmicro RNAの発現量により予測することが可能であるという論文を発見し、当初計画の手技は比較的煩雑で時間も長く要することから、当初の手技ではなくmicro RNAによる両遺伝子変異の予測によって対象症例を変異群と非変異群に分類し画像解析結果の対比を行うこととした。 そこで、まず当研究室が所有する肺腺癌細胞株9株のうち、EGFR, KRAS変異が不明である7株についてRNA抽出し、シークエンスの受託サービスにより両遺伝子変異の有無を検索した。これにより変異状態が不明であった細胞株の変異状態が明らかとなり、これらの細胞株を用いてmicro RNAの発現量が両遺伝子変異状態を反映しているか確認できるため意義深い。またこれらの細胞株を用いてmicro RNAの抽出法も検討し決定した。そして現在、両遺伝子の変異状態が明らかとなった細胞においてmiR-1253, 504, 26a-5p, 21, 594-5p, 594-3pの発現量を検索している。これらのmicro RNAの候補は、EGFR、KRAS遺伝子の変異状態を反映している可能性があるため、細胞株で両遺伝子の変異状態を反映していることが確認できれば、FFPEブロックを対象とした両遺伝子変異の検索の結果に信頼性が増すため意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度前半にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからのDNA抽出、EGFR, KRAS遺伝子の変異部位を遺伝子増幅させ、その増幅産物から塩基配列を決定させ、両遺伝子の変異配列の有無を検索する計画であった。しかしEGFR, KRAS遺伝子変異の有無をある種のmicro RNAの発現量により予測することが可能であるという論文を発見し、当初計画の手技は比較的煩雑で時間も長く要することから、当初の手技ではなくmicro RNAによる両遺伝子変異の予測によって対象症例を変異群と非変異群に分類し画像解析結果の対比を行うこととした。 まずは当研究室で所有する細胞株の変異状態を明らかにし、細胞株を用いてmicro RNAが両遺伝子の変異状態を反映するか確認する必要があったため、令和4年度中にFFPEブロックを対象としたEGFR, KRAS遺伝子変異の検索は行えなかった。しかし現在、細胞株におけるmicro RNAの発現量は一部計測できており、micro RNAが両遺伝子の変異状態を反映していることが確認でき次第FFPEブロックを対象とした両遺伝子変異の検索を行うことができるため、少しの遅れは取り戻すことができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間延長承認申請および昨年度の研究実施状況報告書の研究の推進方策では、令和4年度前半にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからのDNA抽出、EGFR, KRAS遺伝子の変異部位を遺伝子増幅させ、その増幅産物から塩基配列を決定させ、両遺伝子の変異配列の有無を検索する計画であった。しかしEGFR, KRAS遺伝子変異の有無をある種のmicro RNAの発現量により予測することが可能であるという論文を発見し、当初計画の手技は比較的煩雑で時間も長く要することから、当初の手技ではなくmicro RNAによる両遺伝子変異の予測によって対象症例を変異群と非変異群に分類し画像解析結果の対比を行うこととした。 現在、細胞株におけるmicro RNAの発現量は一部計測できているため、micro RNAが両遺伝子の変異状態を反映していることが確認でき次第FFPEブロックを対象とした両遺伝子変異の検索を行うこととする。核の形状の画像解析結果は既に得られているため、EGFR, KRAS遺伝子変異の有無が検索出来れば、変異群と非変異群での核の形状の特徴が明らかとなり、これらの研究成果を論文として執筆し投稿する。
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Causes of Carryover |
令和3年度9月から2月まで産前産後の休暇および育児休業の取得のため研究を中断しており、この研究中断の間に使用しなかった助成金が未使用金額となり次年度使用額となった。このため本年度(令和4年度)は、令和3年度の未使用金額と令和4年度分として請求した助成金を合わせた額であったため、研究で必要な消耗品の購入に使用したが、次年度使用額が発生してしまった。この次年度使用額は、次年度分として請求した助成金と合わせ、研究に必要な消耗品(変異解析用消耗品等)の購入、論文の英文校正費および論文投稿費に使用する予定である。
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