2022 Fiscal Year Research-status Report
肺の再生に向けた,iPS細胞から誘導した気管支肺胞幹細胞による細胞移植の可能性
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20K17751
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河北 直也 徳島大学, 病院, 講師 (60522266)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 再生 / 肺 / iPS細胞 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は3年度に続いて、ブレオマイシン(BLM)モデルの作成を進め、気管内BLM投与による急性肺障害モデルを作成した。しかしながら、細胞移植実験においては、肺障害の程度の不均一性から、移植細胞の生着は確認できたものの、BLM傷害の軽減を示すことはできなかった。安定して傷害モデルの作成可能なナフタレン傷害モデルにおいて、BASCsの長期生着と、機能維持を示せるように実験を継続している。 一方でiPS由来の気管支肺胞幹細胞(BASCs)の機能解析も進めており、iPS細胞を分化させ、表面マーカーのSca-1/CD45/CD31でソートしたBASCs細胞群のオルガノイド培養を行った。培養により既報告のマウス肺由来のBASCsと同様に、様々な形態を示すオルガノイドの形成を認めた。さらに形成されたオルガノイドを免疫染色およびフローサイトメトリー解析したところ、iPS由来BASCsが自己複製能を有することおよび、細気管支領域の各種上皮細胞に分化していることを示した。このオルガノイドを用いて、傷害肺への移植実験や、脱細胞肺への投与を今後進めて、iPS由来BASCsオルガノイドが生体内で細胞修復作用を有したり、上皮細胞の組織構築機能を有するかどうかを示していく予定である。世界で初めて作成した我々のiPS由来BASCsが細胞治療ソースとなる過去の研究を越えて、生体マウス由来のBASCsに近い自己複製能や分化能を有する可能性が今回示せており、意義深いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブレオマイシン傷害モデルの作成、均一化が遅れておりそのため昨年度より遅れを引き継いでいる。本年は一旦BLMモデルを保留し、ナフタレン傷害モデルでのBASCs移植後長期観察に舵を切った。モデル作成と、細胞移植はこれまでに習得している技術であり問題ないが、再障害時の評価法や、その移植細胞の細胞追跡にやや難渋している。一方で、in vitroで進めていたBASCsの培養が安定して行えており、オルガノイド作成にも成功した。iPS由来BASCsの機能解析をさらに進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
移植細胞の追跡を容易にするため、GFPマウスを今後用いることでrecipientの細胞とdonorの細胞を判別し、長期観察を進める。そのためにGFPマウスに対する傷害モデルをまず作成することが第一段階となる。それを速やかに開始予定である。またiPS細胞由来BASCsオルガノイドは複数回の免疫染色およびフローサイトメトリーを行い、構成細胞比率を詳細に検証する予定である。
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Causes of Carryover |
モデル作成の過程で遅れを生じており全体の遅れとなっている。またiPSの質の低下が一時あり、試薬変更など、質の改善に少し時間を要したため、次年度使用額が生じた。iPS細胞の培養は順調に行われており、翌年度分として請求した研究費とあわせて、試薬および、新たなGFPマウスでのモデル作成のためのマウス購入費用に使用予定である。
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