2020 Fiscal Year Research-status Report
ブタ胎仔肺間葉系幹細胞の気道内投与による肺障害修復の可能性
Project/Area Number |
20K17752
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高嶋 美佳 徳島大学, 病院, 特任助教 (70596254)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺再生 / ブタ胎仔肺 / 間葉系幹細胞 / LPS誘導急性肺障害 / 気道内投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで研究代表者は発展途上にある肺再生の分野において、胎仔肺組織移植を中心に基礎研究に取り組み、様々な知見を得てきた。今回、これらの知見を踏まえ、旺盛な増殖能と多能性を持つとされる胎仔肺由来の間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells:MSCs)が肺再生の細胞ソースとして適しているのではないかと考えた。その特徴や優位性を検証するために、胎仔肺由来のMSCsを抽出しその特性を評価すること、さらにヒトに近いブタにおける急性肺障害モデルに気道内投与し、肺再生の修復の過程にどのように寄与するかを検証し、肺の再生医療の一助となることを目的とした。 まず2020年度は、ブタ胎仔肺(Fetal-Lung:FL)からMSCsを単離する技術を確立すること、さらに抽出したFL-MSCsと様々な組織や細胞集団からのMSCsとを比較することを計画した。54日齢のブタ胎仔肺組織を摘出し培養処理後にFicoll-Hypaque(GE Hearth care)での遠心分離により単核細胞を単離した。これらを培養した細胞群において、現在、間葉系マーカー陽性(CD29, CD44, CD90, CD105)・造血マーカー陰性(CD34, CD45)を確認しFL-MSCsを同定している過程にある。これらの細胞群がFL-MSCsであることが確認できれば、ブタ胎仔肺よりMSCsを単離する技術を確立したことになり、これは肺再生の研究において意義のあることと言える。また平行して、6週齢ブタの肺組織、大腿骨の骨髄、成体肺からのBALを採取した。これらからMSCsを単離し、先に単離したFL-MSCsとこれらの細胞群において回収の効率性や自己複製能、増殖能、分化能を比較することで、FL-MSCsの特性や有効性を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において、ブタ胎仔肺組織からの単核細胞の抽出における手技の確立に時間を要した。よって各組織・細胞集団から採取したMSCsの特性・優位性を検討できていない状況にある。また本研究は2020年度から新規に計画した動物実験であり、COVID-19感染症の蔓延と実験環境の確保から、実験の開始時期を慎重に吟味する必要があった。よって実験開始時期が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
時間は要したものの、抽出予定の細胞は回収することができた。これにより、今後は回収した細胞集団が目的の細胞であることを証明すること、さらに各々の細胞の特性を評価する実験に進めると考える。これらを確認した後に、さらに本年度は既に一昨年度までに確立したブタLPS急性肺障害モデルに対するこれらの細胞投与を予定している。事前の計画より遅延しているものの、これらの手技は研究代表者が同様の経験があるため研究が遂行できると考える。
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Causes of Carryover |
手技の確立に時間を要し、実験がやや遅延している状態であるため、未使用額が生じた。本年度に使用予定であった、各組織・細胞集団から抽出したMSCsの各々の特性を評価するためのキットや検査費用に使用予定である。
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