2021 Fiscal Year Research-status Report
胸腺癌における免疫療法の治療効果予測新規マーカー探索と網羅的遺伝子解析
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20K17755
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
坂根 理司 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70779248)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胸腺癌 / 胸腺腫 / 遺伝子変異 / 癌精巣抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺癌は稀少癌の一つであり、手術による完全切除以外の有効な治療法が確立されていない。 治療標的となり得る遺伝子を検索するために、昨年度、次世代シーケンサーを用いた網羅的な遺伝子解析を行った。その結果、最も高頻度であった変異バリアントはTP53遺伝子変異であった。次いでKIT遺伝子(4例)、PDGFRA遺伝子(3例)であった。低頻度ながらも、これらの遺伝子変異陽性症例はチロシンキナーゼ阻害薬が効果的である可能性が示唆された。また、胸腺扁平上皮癌に絞った予後解析において、KIT、PDGFRA遺伝子を含むチロシンキナーゼ受容体遺伝子群の変異陽性例は、野生型症例と比して有意に予後不良であることを見出した。チロシンキナーゼ受容体遺伝子群の変異陽性例は胸腺癌における予後因子である可能性があり、重要と考えられた。この結果を2021年4月の第121回日本外科学会定期学術集会にて発表した。 また、胸腺癌に対するネオアンチゲン療法を目指し、今年度胸腺癌を含む胸腺上皮性腫瘍192例における5種類の癌精巣抗原(MAGE-A, NY-ESO-1, MAGE-C1, SAGE, GAGE7)の発現を免疫療法にて確認した。これらの癌精巣抗原は胸腺上皮性腫瘍において広く発現しており、MAGE-C1以外の4種類の癌精巣抗原においては、組織学的悪性度が高くなるにつれて、概ね発現率が高くなっていた。またB2/B3胸腺腫において、SAGEとGAGE7の発現例は全生存期間が有意に短縮していた。以上の結果を論文化し、Pathology Internationalにアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子パネルを用いた次世代シークエンス解析を予定していたより早期に終了することができた。また、癌精巣抗原の解析についても、当初の予定より早く実行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
胸腺癌における遺伝子解析の一環として、Tumor Mutational Burden (TMB)やMicrosatellite Instability (MSI)の解析を予定している。その解析により、免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子を同定できる可能性がある。 また、腫瘍微小環境の評価として腫瘍浸潤リンパ球の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で学会がWeb開催となり、旅費が不要となった。また、本年度使用した物品や消耗品は、これまでに研究室に設置されていた物品等で一部賄えていたため、予定よりも使用額が少なくなった。差額については、来年度の物品購入等で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)