2022 Fiscal Year Research-status Report
革新的技術による微小転移の可視化と転移初期段階の分子機構の解明
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20K17756
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
柴野 智毅 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10648900)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺癌 / 微小転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
D-Luciferinを用いた転移モデル A549, H441, H2009, LC-2/ad, H2228をそれぞれマウスの左心室内に移植し転移モデルを作成した。A549およびH441は多臓器への転移を認めたものの、H2009, LC-2/ad, H2228はIVISにて検出可能な転移はみられなかった。後者の細胞を移植したマウスの組織標本を確認すると、ごく少数の細胞により形成された転移巣を僅かに確認することができた。これらが微小転移のモデルになり得ると考えられた。 Akalucを用いた微小転移モデルの解析 上記実験よりH2009, LC-2/ad, H2228はマウスの左心室に移植することで微小転移を形成することが判明した。しかしながら従来のD-luciferinを用いたモデルではIVISで微小転移を検出することができず、また屠殺後の組織標本でも小さな転移巣を確認することは困難であった。そのため、D-luciferinに代わる新しい人工生物発光システム(AkaBLIS)と組織透明化技術(CUBIC)を用いて微小転移を可視化する実験へと移行した。AkaLuc遺伝子に赤色蛍光タンパク質mCherryもしくはVenusの遺伝子を連結した発現ベクターを肺腺がん細胞H2009に発現させた細胞株を作成し、上記と同様に転移実験を行なった。AkaLucを用いた解析ではIVISにおいてD-Luciferinでは検出できなかった転移巣を特定することに成功した。また経時的には移植後3週目までは発光が次第に消退していくが、3週目以降は発光部位が局在化し、一定の期間定常化した後、徐々に発光が強くなる傾向がみられた。これはがんの転移形成の初期段階の経過を見ているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoにおける微小転移モデルの作成には成功した。現在はCUBIC法を用いた臓器透明化による組織学的な微小転移の可視化に向けて実験中である。またin vitroにおいてはmRNAやメタボローム解析で得られた結果を参考にし追加実験を検討中である。
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Causes of Carryover |
予定よりも実験数が少なく済んだため次年度繰り越し金が生じた。次年度は論文作成、公正、投稿に費用を要するため、その資金として使用する予定。
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