2023 Fiscal Year Research-status Report
A study that predicts and improves postoperative lung cancer pain by amygdala volume measured by preoperative MRI.
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20K17758
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高宮 新之介 昭和大学, 医学部, 助教 (00867781)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺癌手術 / 術後疼痛 / VBM / EQ-5D-5L / STAI 状態-特性不安検査 / SBM / 扁桃体 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の脳領域の体積とQOLや疼痛との関連の報告は散見される.我々は2020年第120回日本外科学会で肺癌手術患者の脳体積計測の実際と評価法を発表したがそこからさらに症例を集積した.目的:脳扁桃体の大きさと術後QOLや疼痛の関連を検討する.対象:当院で肺癌に対して手術した144例のうち,術前脳MRI画像を基に正常に扁桃体体積を解析できた19例を対象とした.方法:昭和大学生理学講座の先行研究で得た年齢別予測体積を基に,予測値を上回る5例(以下B群)と下方14例(以下S群)の2群に分けた.画像解析はFreeSurferを用いてSBM(surface-based morphometry)にて行った.QOLはEQ-5D-5L法で5項目(①可動性②セルフケア③通常の活動④痛み/不快感⑤不安/抑うつ),疼痛はNRSで評価した.各脳体積の大小をグループ化変数としてt検定を行なった. 結果:1. 症例の内訳:男13例,女6例,年齢43~80歳(平均68.6).術式は区切以上14例,部切5例で,アプローチは胸腔鏡下手術14例(完全鏡視下4例),開胸5例. 2. 扁桃体体積:右1537.8±231.9mm3,左1326±22.8mm3で有意な左右差は認めなかった.B群の体積は右1712.6±136.3mm3,左1535.4±78.6mm3,S群は右1457.1±224.9mm3,左1251.3±209.6mm3であった. 3. 疼痛とQOL:NRSは安静時右B群1.7±0.5,S群2.5±2.8,左B群1.4±0.6,S群2.6±2.7,労作時右B群3.5±2.2,S群4.4±2.3,左B群 3.6±2.1,S群4.3±2.3といずれも2群で有意差を認めなかった. QOLは,左右とも2群で有意な差はみられなかったが,⑤不安/抑うつに特化すると左扁桃体においてB群0.00±0.00,S群-0.044±0.041と有意差を認めた(両側p=0.03).結語:解析症例が少なく更なる検討が必要であるが,扁桃体の体積から術後の不安指数を予測できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の重要な進行に影響を与えた主な要因の一つは、代表者の転勤による症例の集積の中断です。加えて、脳MRIデータの解析においても複数の技術的問題が発生しました。使用しているFreeSurferソフトウェアの予期せぬバグが発生し、特に扁桃体の体積測定に必要な画像処理アルゴリズムに影響を与えました。これにより、正確な体積計測が困難となり、初期のデータセットに対して数回の再解析を要することになりました。さらに、解析の過程で得られたデータの精度に関する疑問が持ち上がり、これを確認するための追加の検証作業が必要となりました。
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Strategy for Future Research Activity |
Freesurferを含むソフトウェアの定期的な更新と検証についても再確認します。解析ソフトウェアの技術的問題に迅速に対処するため、ソフトウェア開発者やIT専門家との継続的な連携を強化します。これにより、問題発生時の対応速度を向上させ、研究の遅延を最小限に抑えます。効率的かつ正確なデータ収集は、臨床研究の成功に不可欠です。症例登録の病棟でのシステムを見直し、操作性とデータの精度を向上させることで、より多くの有用な臨床データを迅速に収集できるようにします。
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Causes of Carryover |
転勤などのが計画通りの症例集積を困難にしました。これにより、利用可能なデータが限られた状況下で、統計的な解析にのみに焦点を当てざるを得ませんでした。予定していた数の症例を集めることができず、研究の範囲や深さが制限されたため、予算の一部が未使用となりました。次年度では、患者からのデータ収集のために必要な検査用紙、検査キット、その他の消耗品を購入します。これにより、データの質を保ちながら迅速に収集を行うことが可能になります。未使用となった予算を有効活用し、研究の全体的な成果を向上させることができるよう努めます。
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