2020 Fiscal Year Research-status Report
IPF合併肺癌の機序解明につながる非侵襲的Exosome解析
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20K17761
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
山道 尭 公益財団法人がん研究会, 有明病院 呼吸器外科, 医員 (10834492)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / 原発性肺癌 / 術後合併症 / 術前画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
間質性肺炎を含む肺慢性炎症及び、慢性炎症を繰り返した結果発癌に至る機序の解明を目的とし、慢性炎症を背景とした肺癌の特徴や経過について、画像診断を含む非侵襲的modalityを用いて検討を行っている。2020年度は世界情勢の面で介入研究を積極的に施行するのが困難であったこともあり、現在databaseに残っている画像所見を改めて解析し、新規知見として得られた内容を学会発表、論文投稿を中心に報告してきた。特に外科的手術を行い、検体が採取できている症例を対象として比較している。 具体的には、喫煙、特に周術期の喫煙と術後の間質性肺炎急性増悪を含む呼吸器関連合併症との比較検討を行い、同研究は2020年度日本肺癌学会学術総会にて報告し、The Annals of Thoracic Surgeryに投稿し、Acceptいただいている。画像関連の研究では、肺慢性炎症に特異的である肺門部や縦隔リンパ節の反応性腫大と悪性腫瘍転移の比較を、FDG-PET/CTの画像所見、術前CTの画像所見に加え、超音波気管支鏡の画像所見を用いて予測する、という研究も行っている。同研究も日本呼吸器内視鏡学会学術集会にて発表し、さらにjournal of Thoracic Diseaseに投稿し、Acceptいただいた。直接的な間質性肺炎のみでなく、背景肺野の炎症所見と肺癌の発生、病勢の進行、そして治療に伴う合併症の発症の相関を評価することで、術前因子及び周術期因子から間質性肺炎急性増悪を含む合併症の発症に関与する因子を同定し、発症予測、予防につなげていくことを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年04月から勤務施設が変わったことに加え、世界情勢から複数の施設に出入りすることが困難となっており、直接的な研究については、試料集めおよびdata整理のみに制限されてしまっているという状況がある。対象群の抽出および背景肺野の状態、発癌の状態に応じた分類を行ったうえで、それぞれの術前画像から画像特徴因子の抽出を試みている段階である。当科独自の画像機械学習モデルについては、術前画像から悪性腫瘍を検出できるレベルにまでレベルアップできており、同モデルを用いて、患者素因、臨床病理学的項目を含めたプロファイルを作成中であり、完成次第次の段階に進めていく予定である。 画像解析および採取検体評価、非侵襲的評価については、外部委託を予定していたが、2020年度は外部委託の極端な制限を強いられていた状況もあり、進めることができていない。こちらについては2021年度を中心に委託可能業者を改めて確認し、再度評価を行う。 他施設とのデータ相互集積については、研究計画書にも記載していたように、当院での研究で良好なデータが得られたものを中心として集積を行う予定であるため、現在は当院のみで同研究を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の推進については、後方視的研究データを改めて見直すことが中心となっている。 試料は前職場である東京医科大学病院および現職場であるがん研究会有明病院双方のものを使用することが可能であり、双方の臨床及び病理データに加え、非侵襲的に得られる画像所見を改めてプロファイルし、統一したdatabaseの作成を行う。対象をIPF症例に限定せず、慢性炎症を有する肺癌症例も併せて確認し、慢性炎症のうちのIPFがどの程度発癌、そして間質性肺炎急性増悪を含む術後合併症に影響するのかを評価する。本研究によって得られた知見は、一部であっても全国規模の学術集会、国際学会で研究発表を予定しており、さらに海外雑誌へ学術論文として発表する予定である。さらに本研究成果は早期から臨床応用できる可能性が大きいため、所属する病院における診療科、あるいは所属研究室のホームページ上において紹介する予定である。
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Causes of Carryover |
海外学会に出張するために計上した費用が現在の世界情勢のため直接学会に出張することができず、オンラインの学会となった。これに加え、外部委託を行い施行する予定であった研究についても、外部委託施設の休業や閉鎖などもあり、新規委託施設検討中のため費用申請ができず、次年度使用額が生じた。2021年度は研究結果、新知見を海外学会や論文投稿にて報告することを複数内容で予定しており、同助成金を使用する方針である。
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[Journal Article] Correlation between smoking status and short-term outcome of thoracoscopic surgery for lung cancer.2020
Author(s)
Yamamichi T, Ichinose J, Iwamoto N, Omura K, Ozawa H, Kondo Y, Hashimoto K, Matsuura Y, Nakao M, Okumura S, Mun M.
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Journal Title
The Annals of Thoracic Surgery
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Impact of postoperative complications on long-term outcomes after lung cancer surgery2021
Author(s)
Yamamichi T, Ichinose J, Iwamoto N, Omura K, Ozawa H, Kondo Y, Hashimoto K, Matsuura Y, Nakao M, Okumura S, Mun M.
Organizer
The 29th European Society of Thoracic Surgeons annual meeting
Int'l Joint Research
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