2020 Fiscal Year Research-status Report
肺癌の組織型とドライバー変異に基づくオルガノイド培養法の最適化
Project/Area Number |
20K17765
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
吉田 将和 川崎医科大学, 医学部, 特任研究員 (30868914)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | オルガノイド / 肺癌 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内外において生検サンプルや切除臓器を活用したオルガノイド研究が進められてきている。オルガノイドは、解剖学的、機能的に生体内に存在する器官に近い特徴を示すことから、これまで困難であった生命現象の解析が可能になってきた。癌分野においても、各臓器癌に由来するオルガノイドが樹立され、細胞株や遺伝子改変マウスに代わる新しい癌モデルとして、個別化医療や新規治療法の開発に用いられてきている。この中で我々は、肺癌切除組織からのオルガノイドの樹立を行い、肺癌オルガノイドの作製に成功している。しかしその樹立率は自施設、他施設ともに高くなく、作製と培養法の改変を必要とする。肺癌オルガノイドの樹立過程で、正常肺由来オルガノイドがより早く増殖し、癌細胞に置き換わる現象が報告されており(Hynds, R. E. et al. Int J Cancer. 143, 160-166. doi: 110.1002/ijc.31383. Epub 32018 Apr 31386. 2018.)、樹立を阻む原因の一つと考えられている。研究期間1年目の検討において、野生型TP53遺伝子を持つ正常細胞増殖を抑制することができるMDM2阻害剤: nutlin-3aを培養液に添加することで、新たに肺腺癌オルガノイドを樹立することができている。一方で、EGFRリガンドであるTGF-alphaの使用は、EGFR変異陽性肺癌オルガノイドの樹立率を上げる結果には至らず、他の方法を検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
混入する、正常組織の増殖を抑制することが可能になったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
特に樹立困難である、扁平上皮癌からのオルガノイド樹立に注力するとともに、肺癌オルガノイドのライブラリ化をすすめる。
|
Causes of Carryover |
購入試薬が安価に抑えられたため、次年度使用額が生じた。 次世代シーケンス受託解析費として使用する。
|