2020 Fiscal Year Research-status Report
肺がんメタボリズムが免疫寛容をもたらすメカニズムの解明と治療応用
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20K17768
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
佐藤 卓 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 共同研究員 (90814541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺がん / 代謝 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の免疫チェックポイント阻害(ICB)療法の成功により、腫瘍免疫の賦活化で、肺がんを治療できることが示された。しかし、i) 不応答症例の方がむしろ多いこと、ii) 耐性獲得がんの出現、などの大きな問題がある。本課題では、1) W効果による免疫寛容誘導メカニズムを解明するとともに、2) W効果ターゲット免疫療法の有効性をマウス前臨床モデルにて検証することを目的として、各種取り組みを行った。 【1. メカニズムの解明】遺伝子改変マウス肺上皮細胞のsyngenic allograft腫瘍を解析し、W効果が免疫回避を導く分子機構を検討した。浸潤白血球(TIL)細胞表面マーカーの解析やバルク腫瘍の遺伝子発現解析等により、W効果がもたらす免疫寛容に強く関与すると思われるシグナル伝達経路が浮上した。このシグナル異常は培養系における細胞の遺伝子発現解析においても、同様にみとめられた。これらの結果から、W効果がもたらす免疫寛容には、腫瘍細胞内における代謝制御とシグナル伝達制御との間のクロストークが関わることが強く示唆された。 【2. マウスモデルにおける治療効果の検証】 遺伝子操作によるW効果への拮抗が、既存チェックポイント阻害と相乗効果を示すか否か、検討した。その結果、PD-1阻害およびPD-L1阻害のいずれとの組み合わせにおいても、相乗的な治療効果をもつことが明らかになった。これら相乗効果をより普遍的に検証するため、種々のsyngenic移植腫瘍系をテストし、各試験系におけるベースラインのICB反応性を確認した。今後、得られた情報をもとに、ICB治療に代謝干渉を上乗せした際の治療効果を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたICB治療・代謝干渉上乗せ効果の検証計画が若干後ろずれしたが、一方で、メカニズム解明が当初想定を上回って進展した。それらを総合判断し、計画は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の検討で浮上した、W効果解消と腫瘍免疫賦活化に関わるシグナル伝達経路とのクロストークについて、より詳細なメカニズム解明を行う。同様に、前年度において試行した各種syngenic移植腫瘍モデルを用い、ICB治療に代謝干渉を上乗せした際の治療効果を検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品費が当初想定よりも僅かに少なくすんだため。次年度の消耗品費に上積みし、より迅速な計画進捗をねらう。
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[Journal Article] Comparison of the ischemic and non-ischemic lung cancer metabolome reveals hyper activity of the TCA cycle and autophagy.2020
Author(s)
Kikuchi N, Soga T, Nomura M, Sato T, Sakamoto Y, Tanaka R, Abe J, Morita M, Shima H, Okada Y, Tanuma N
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 530
Pages: 285-291
DOI
Peer Reviewed