2021 Fiscal Year Annual Research Report
肺原発浸潤性粘液腺癌の免疫学的微小環境の解析とネオアンチゲン探索
Project/Area Number |
20K17772
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
仲西 慶太 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80868290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 原発性肺腺癌 / 浸潤性粘液腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
愛知県がんセンターにおける症例集積では当該研究期間で完全切除を受けた原発性肺腺癌症例のうちmRNAシーケンスやFACSなどの免疫学的解析を行えた症例は112例、そのうちinvasive mucinous adenocarcinomaが7例であった。Invasive mucinous adenocarcinoma群はnon-mucinous群と比較して、有意に組織学的グレードが低く、single nucleotide variantが少なく、EGFR遺伝子変異が多く、PD-L1のTPSスコアが低いということがわかった。 SNVの数だけでなく、腫瘍組織のFACSにおけるCD8陽性リンパ球および、より腫瘍特異的な性格のCD8陽性/CD39陽性/CD103陽性リンパ球がnon-mucinous群に比較してInvasive mucinous群では有意に少ないことが判明した。以上から、invasive mucinous adenocarcinomaでは免疫微小環境がややpro-tumorであることがわかった。 同様に免疫抑制環境についての解析ではFoxP3、ICOS、LAG3、TIGIT、CTLA4などの分子発現が優位で免疫抑制環境が優位となっていることがわかった。本研究では、血液や腫瘍検体を用いた上記の免疫学的微小環境の解析によって、Invasive mucinous adenocarcinomaの免疫学的微小環境の特性、免疫チェックポイント阻害剤投与がより適した症例の免疫反応などを探るための基礎的知見をえることができたと考えている。Invasive mucinous adenocarcinomaは一般的に放射線療法や化学療法に抵抗性であることが多く、免疫チェックポイント阻害剤の奏功しやすい症例の特徴の抽出に加え、新たな免疫療法の開発が待たれるため、今後はネオアンチゲンの同定およびin vitroでの投与実験も予定している。上記の結果をもって論文作成中である。
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