2020 Fiscal Year Research-status Report
CACNA1S変異が細胞内カルシウム動態に及ぼす影響の検討
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20K17813
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大月 幸子 広島大学, 病院(医), 助教 (90774018)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 悪性高熱症 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性高熱症は、吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬により誘発される常染色体優性遺伝の潜在的な筋疾患である。発症率は約10万例に1例と稀ではあるが、一旦発症すると進行は急峻で、特効薬であるダントロレンが発見された現代でも死亡率が15%もある致死的な疾患である。その本態は骨格筋細胞内のカルシウム調節異常で、遺伝子変異が原因と考えられている。悪性高熱症を発症した人の50-70%に何らかの遺伝子異常が報告されているが、 いまだ不明な点も多い。 当院では以前から悪性高熱症の素因診断を行ってきた。その際に使用したヒトの骨格筋の残りを用いて筋管細胞を培養し、様々な薬剤に対する細胞内カルシウム動態の測定を行っている。悪性高熱症の患者では、健常者よりも一部の薬剤に対する感受性が高い傾向があり、健常者では問題なく使用できる薬剤が悪性高熱症患者では不適となる可能性も考えられる。そのため、様々な薬剤に対するカルシウム動態を測定しその違いを解明することで、悪性高熱症患者にもより安全な麻酔を行うことができると考えている。 今回は筋管細胞の性質を確認するために、カフェインとクレゾールを負荷した際の50%効果濃度(EC50)を測定した。遺伝子変異のない筋管細胞のカフェインのEC50は4.993mM、クレゾールのEC50は217.4μMだった。遺伝子変異のある筋管細胞のEC50は、カフェインが2.657±0.933mM、クレゾールが145.0±33.0μMだった。どちらもこれまでの報告と大きく違いはなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は当初予定した通り、カフェインとクレゾールを使用した測定を行った。新規の骨格筋も得られたため、その筋管細胞の作製等も行った。そのため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、当初予定した通り、カルシウム拮抗薬に対する細胞内カルシウム動態の測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
これまでに購入していた物品を使用したため、当初の予定より実際の使用額が減ったため。次年度は、経年劣化で使用できなくなった機器があるため、その購入に使用する予定にしている。
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