2021 Fiscal Year Annual Research Report
CACNA1S変異が細胞内カルシウム動態に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
20K17813
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大月 幸子 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90774018)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 悪性高熱症 / カルシウム拮抗薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性高熱症 (malignant hyperthermia; MH) は、吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬の暴露により誘発される潜在的な筋疾患である。その本態は骨格筋細胞内のカルシウム (Ca2+) 調節異常で、原因として1型リアノジン受容体 (ryanodine receptor type 1; RYR1) と電位依存性L型 Ca チャネルのα1 サブユニット (CACNA1S) の遺伝子変異が考えられている。今回、CACNA1Sに変異のある骨格筋を用いて、種々の薬剤に対する細胞内Ca2+ 動態を測定し、RYR1 遺伝子変異によるものとの違いを明らかにすることを目的とした。 MHの素因ありの筋管細胞のうち、CACNA1Sに変異があり測定できたものは1種類のみであった。そのため、結果については悪性高熱症素因の有無で比較した。 RYR1のアゴニストであるカフェイン、クレゾールの50%効果濃度 (EC50)は、カフェインが 素因あり 5.1±0.5 mM, 素因なし 2.6±0.6 mM (p=0.0007)、クレゾールが、素因あり 295±53 μM, 素因なし 151±35 μMであった (p=0.0013)。カルシウム拮抗薬であるニフェジピンのEC50は、素因あり0.79±0.20μM、素因なし1.32±0.15μMだった(p=0.0013)。 ニフェジピンを15μM以上で刺激すると負荷終了後も基線が元に戻らなかった。ここにカフェイン10mMを負荷すると、Ca上昇曲線下面積はコントロール時と比較し小さくなった。この基線の上昇は、ダントロレン50μMで回復した。また、Ca2+ freeのニフェジピン15μMを負荷した際のCa反応は減弱した。このことからニフェジピン15μM刺激中も細胞外からCa2+が流入していることを示唆している。
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