2022 Fiscal Year Annual Research Report
無痛型神経成長因子を活用した痛み特異的シグナリングの同定と神経再生への応用
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20K17821
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 純悟 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40465018)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性痛 / 神経成長因子 / p75 / 鎮痛薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
3ヵ年計画の最終年にあたる2022年度では、NGFのモノクローナル抗体でNGFと結合するとNGF-p75結合を選択的に阻害すると報告されているNGF30から作成したF(ab’)2フラグメントであるNGF30-F(ab’)2の生理活性の解析を進めた。交感神経を再現した培養細胞PC12細胞ではNGFにNGF30-F(ab’)2を添加することで、NGF受容体の一つであるTrkAのinternalizationが促進することが示された。Western blotではこのNGF30-F(ab’)2によりTrkA・p75双方の下流シグナルが抑制されることが示された。この結果はNGF30-F(ab’)2がp75の下流シグナリングを選択的に阻害するという当初の仮説に反するものであるが、TrkAのinternalizationが促進されたという知見と合わせると、TrkAとp75それぞれのシグナリングの間にNGFを介したcross-talkが存在することが示唆された。また、マウス足掌へのNGF投与による疼痛誘発モデルでは、NGF30-F(ab’)2添加により有意に機械性過敏亢進を抑制することが示さらた。これらの結果より、NGFの痛み特異的シグナリングがNGF30-F(ab’)2により抑制された可能性が示唆された。以上の結果より、NGF30-F(ab’)2がこれまでの抗NGF抗体と一線を画した形でNGFシグナリングを阻害し、鎮痛効果を発揮すると考えられた。今後、臨床上問題となっている様々な病的疼痛をマウスで再現し、NGF30-F(ab’)2の鎮痛効果を評価し、NGFの痛み特異的シグナリングを標的とした新たな鎮痛方法を探索していく。
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