2020 Fiscal Year Research-status Report
敗血症関連脳症の機序解明およびグルタチオンによる抗酸化作用関与の解析
Project/Area Number |
20K17822
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 賢礼 東京医科大学, 医学部, 助教 (80837724)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 敗血症関連脳症 / Cyclophilin D ノックアウトマウス / グルタチオン / 抗酸化作用 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
SAE発症による脳内GSH/CypD/SIRT3情報伝達系を介した脳内代謝経路のメタボローム解析 による網羅的分析を進めた。第8~10週令の雄性C57B6 wildマウスをwild群とCypD遺伝子欠損(Ppif-/-)マウス(CypD KO群)を用いて回盲部結紮+1回穿刺(CLP)による誘発敗血症性脳症モデル(SAEモデル)を作製し、モデル作製0, 6, 18時間後(wild群とCypD KO群ともに各群3匹の動物を使用。また、各群のshamとして3匹ずつの動物を使用)に大脳のサンプリングを施行し、30秒間vortexし、2,300xg、4℃ 5分間遠心して遠心上清を限外濾過フィルタで除タンパクして遠心してpelletを5%(w/w)マンニトール水溶液10mlに懸濁しCE-TOFMSによる脳内代謝経路のメタボローム解析を行い、脳内GSH変動と脳内GSH/CypD/SIRT3情報伝達系の脳内代謝経路への役割を網羅的に検討した。結果として、KO群はグルタチオン(GSH)が有意に高率に保たれ、抗酸化的作用を発揮した可能性が示唆された。また、モデル作製0, 6, 18時間(各時間とも5匹のマウスを使用)後に凍結切片(25μm)作製と大脳のサンプリングを行いmRNAと蛋白の抽出後、RT-PCRとwestern blotでTNFα、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10などのサイトカインの発現を比較し、細胞死・Apoptosisの発現変動をCelestinblue-acid fuchsin染色とNFkB、p53発現をimmunoblotと免疫染色から検討して両者の役割を明確にする試みから、病理所見においてKO群は有意に細胞死を免れている点、およびp-AKTなど抗酸化作用を有利に進めるいくつかの因子においてKO群がより有意な数値を維持する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初の計画として以下が挙げられる。SAE発症による脳内Bcl-2 family発現、神経細胞死・アポトーシス形成における脳内CypD/SIRT3情報伝達系の果たす役割解明および、脳内GSH/CypD/SIRT3情報伝達系を介した脳内代謝経路のメタボローム解析による網羅的分析を進めたる予定であった。第8~10週令の雄性C57B6 wildマウス(体重25~30g)を2群(CypD KO群とwild群)に分けて、回盲部結紮+1回穿刺(CLP)による誘発敗血症性脳症モデル(SAEモデル)を作製し、モデル作製0, 6, 18時間(各時間とも5匹のマウスを使用)後に凍結切片(25μm)作製と大脳のサンプリングを行いmRNAと蛋白の抽出後、RT-PCRとwestern blotおよび、メタボローム解析を進める予定であった。最も費用が掛かり、かつ敗血症モデルの管理が繊細となるメタボローム解析において、非常に良好な結果を得ることができたため、概ね順調に進展していると分析致しました。
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Strategy for Future Research Activity |
SAE発症によるROS産生とGSHの抗酸化作用の機序解明およびxCTの機能解析と併せて、GSH/CypD/SIRT3情報伝達系の果たす役割の解明を目指す。第8~10週令の雄性C57B6 wildマウスをwild群、CypD KOマウス群を用いてSAEモデルを作製し、モデル作製0, 6, 18時間(各時間・両群とも5匹のマウスを使用)後の脳サンプルを用いてWestern BlottingなどによるxCT蛋白の発現解析を行う予定である。また、xCTの機能解析としては、システイン供給経路としてN-Acetyl-L-cysteine (NAC)投与群を作製しxCT蛋白の発現解析、CLP処置後の生存率と病理学的解析を行い、GSH/xCT/CypD情報伝達系の役割解明を目指していく。
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Causes of Carryover |
SAE発症によるROS産生とGSHの抗酸化作用の機序解明およびxCTの機能解析と併せてGSH/CypD/SIRT3情報伝達系の果たす役割の解明を進めるうえで、第8~10週令の雄性C57B6 wildマウスをwild群、CypD KOマウス群を用いてSAEモデルを作製し、モデル作製0, 6, 18時間(各時間・両群とも5匹のマウスを使用)後の脳サンプルを用いてWestern BlottingなどによるxCT蛋白の発現解析を行う予定である。また、xCTの機能解析としては、システイン供給経路としてN-Acetyl-L-cysteine (NAC)投与群を作製しxCT蛋白の発現解析、CLP処置後の生存率と病理学的解析を行い、GSH/xCT/CypD情報伝達系の役割解明を目指す上で、各種実験器具や試薬、あるいは実験動物の飼育や維持費に諸経費を要するため。
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