2020 Fiscal Year Research-status Report
ブドウ糖初期分布容量を指標とする体液評価法の確立と重症敗血症への応用
Project/Area Number |
20K17825
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅沼 拓也 弘前大学, 医学研究科, 助手 (80814011)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | IDVG / 中心部細胞外液量 / 輸液負荷 / 血管収縮薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブドウ糖初期分布容量(Initial distribution volume of glucose、IDVG)は、弘前大学の石原によって考案された方法で、一定量のブドウ糖静注後早期の血中ブドウ糖濃度の推移を1分画モデルに当てはめ、算出されるブドウ糖の分布容量である。IDVGは、糖代謝の影響を受けずに中心部細胞外液量を表すと考えられ、動物出血性ショックモデルでは心拍出量と良好な相関関係を示すが、体液量を変化させずに薬物学的に心機能のみを変化させてもIDVGは変化しないなど、静的な心臓前負荷の評価法として報告されている。 これまでに出血や輸液負荷、血管拡張薬投与などのIDVGの影響の検討は行ってきた。R2年度においては血管収縮薬のIDVGへの影響を動物実験によって検討した。 次年度以降にはHigh PEEP陽圧呼吸のIDVGへの影響の検討を行う。また臨床研究として、計画B:人工呼吸離脱前後でのIDVG値の変化の検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験舎が使用できなかった時期があり、動物実験が思うように進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.血管収縮薬のIDVGへの影響の検討 ヨークシャー豚をケタミンの筋注により麻酔を導入し、局所麻酔薬も併用し気管切開術を施行、人工呼吸管理とする。その後、右大腿動脈にPiCCOカテーテルを挿入し、心拍出量、CVP、胸郭内血液量(ITBV)、一回拍出量変化率(SVV)、直接動脈圧などを測定する。麻酔の維持はペントバルビタール200mg/hr、臭化ベクロニウム4mg/hrで行い、維持輸液は1%ブドウ糖加酢酸リンゲル液を4ml/kg/hrで行う。IDVGの測定は、2gのブドウ糖を投与し、投与0分、3、4、5、7分に2mlずつ採血(5点、合計10ml)し、1コンパートメントモデルに当てはめ測定する。血管収縮薬としてはノルアドレナリン、バゾプレッシンを用い、コントロールの収縮期血圧の150%まで上昇する量を持続静注する。 2.High PEEP陽圧換気のIDVGへの影響の検討 1.と同様にヨークシャー豚を麻酔し、気管切開人工呼吸管理とする。PiCCOカテーテル挿入下に、心拍出量、CVP、胸郭内血液量(ITBV)、一回拍出量変化率(SVV)、直接動脈圧なども測定できるようにする。維持輸液は1%ブドウ糖加酢酸リンゲル液を4ml/kg/hrで行い、IDVGの測定も同様の方法で行う。人工呼吸設定は、従量式換気TV=8ml/kg、RR20-25回/分、PEEPは①Zero、②5cmH2O、③20cmH2Oの3段階を掛ける。
|
Causes of Carryover |
動物実験舎が使用不可で動物実験が行えなかった。 社会情勢から遠方の学会へ参加する機会が無かった。 残額は今後の動物実験にようする機材や論文執筆の際の英文校正に使用する。
|