2022 Fiscal Year Research-status Report
ブドウ糖初期分布容量を指標とする体液評価法の確立と重症敗血症への応用
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20K17825
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅沼 拓也 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (80814011)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブドウ糖初期分布容量 / 心拍出量 / PEEP / ITBV / SVV |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は胸腔内圧の変化により静脈還流量を変化させた時にIDVGや胸郭内血液量(ITBV)、一回拍出量変化率(SVV)、中心静脈圧(CVP)などの心臓前負荷の指標がどのように変化するかを動物実験的に検討した。6頭のヨークシャー豚をケタミンの筋注により麻酔を導入し、局所麻酔薬も併用し気管切開術を施行、人工呼吸管理とした。その後、右大腿動脈にPiCCOカテーテルを挿入し、心拍出量(CO)、CVP、ITBV、SVV、直接動脈圧などを測定した。IDVG の測定は、2g のブドウ糖を投与し、投与0 分、3、4、5、7 分に2mlずつ採血し、1コンパートメントモデルに当てはめ測定した。PEEPは0→10→0→15→0cmH2Oと変化させて上記パラメーターを測定した。その結果は、10cmH2O、15cmH2OのPEEPでCOはそれぞれ26%、44.4%、ITBVは10.4%、18.4%に有意に減少し、SVVは15cmH2OのPEEPで8.2±1.6%から15.7±7.1%へ有意に上昇した。また、これらの変化はPEEPを0に戻すと元の数値レベルに戻った。しかし、IDVGはこれらのPEEP変化で有意な変化を示さなかった。すなわち、IDVGはPEEPのような静脈還流抵抗を上昇させる閉塞性の介入においては、狭義の心臓前負荷の指標とはなり得ないということが示唆された。しかし、本実験がBaseの体液量を変化させずに行っていることを鑑みると、IDVGが変化しないことが依然、中心部細胞外液量を示していることの証明であり、PEEPを0に戻すことでCOが元のレベルに上昇したことでHigh PEEP時でも元のCOを生み出すStressed Volumeがあったことを示唆し、IDVGがそのStressed Volumeの形成に寄与する中心部細胞外液量を示していたことを示唆していたと考えられた。すなわち、High PEEPなどの閉塞性ショック時でもIDVG測定は中心部細胞外液量測定法として意義があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
途中動物実験舎の改修や研究者の転勤があり、満足に実験を行えなかったが、協力者の貢献により当初の予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
典型的な閉塞性ショックとして、動物実験的に心タンポナーデモデルを作成し、「心タンポナーデのIDVG への影響の検討」を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨今の感染症流行の事情などもあり、国内海外学会での発表を十分に行えなかったため旅費は発生しなかった。次年度以降はさらなる実験での物品購入や海外学会での発表を予定している。
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