2020 Fiscal Year Research-status Report
誘導ヒトシュワン様細胞移植を用いた難治性神経障害性痛に対する根治的治療法の開発
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20K17826
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 徹 東北大学, 大学病院, 助教 (90756248)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シュワン細胞 / 神経障害性痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は難治性の末梢性神経障害性痛に対する細胞移植治療法の開発である。2020年度は、以前開発した神経障害性痛の動物モデルである坐骨神経圧迫損傷モデルラットを作成し無作為に3群に分け、それぞれヒト線維芽細胞から誘導した誘導シュワン細胞、ラットシュワン細胞、細胞移植を行わない群とし、行動評価(von frey試験およびHargreaves試験)及び免疫組織学的評価を行った。すべてのラットに免疫抑制剤を投与した。坐骨神経圧迫損傷を受けたすべてのラットは1~2週間後に機械的アロディニア及び熱性痛覚過敏を認めたが、誘導シュワン細胞およびラットシュワン細胞を投与した群では、細胞移植を行わなかった群と比較し、損傷6週間後にいずれも改善傾向であった。現在のところ個体数が少ないため統計学的評価はできていない。 次に神経損傷4週間後において、灌流固定を行い、ラットの脊髄、坐骨神経、および坐骨神経支配領域の第4~第6腰椎レベルの後根神経節を摘出し凍結切片を作成した。その後、脊髄におけるマイクログリア及びアストロサイトの増生、神経圧迫障害部位における軸索損傷及び脱髄、後根神経節の神経細胞における軸索損傷の程度を免疫組織学的に評価した。すべてのラットにおいて脊髄におけるマイクログリア及びアストロサイトの増生、神経圧迫障害部位およびその遠位において軸索損傷および脱髄、後根神経節において軸索損傷マーカーの発現を認めたが、細胞移植の有無による差異は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の後半において動物実験施設の改修工事のため使用不能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
行動実験について統計学的解析が可能となるまでは個体数を増やす。免疫組織学的評価において群間の差異が認められていないため、投与する細胞の培養状態について見直し、また当初の予定でもあったが投与細胞をレンチウイルスを用いて蛍光標識することで、移植後の細胞動態を解析する。
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Causes of Carryover |
研究に必要な抗体等の物品の金額が残額を超えていたため。
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